【世界最強】アメリカ軍についての基本情報

第二次トランプ政権発足後もベネズエラ侵攻やイランへの攻撃などで強大な軍事力を行使するアメリカ。圧倒的な軍事力はアメリカが持つ最強の外交カードとなっています。ところで自他ともに認める世界最強のアメリカ軍ですが、その組織構造や指揮命令系統といった基本的な情報はあまり知られていません。本記事は、そんなアメリカ軍の基本についてお伝えします。
対イギリスの独立戦争で誕生したアメリカ軍
アメリカ軍が誕生したのは1775年のイギリスに対する独立戦争勃発時です。イギリスの植民地が独立戦争を起こすために組織した軍隊に端を発しています。1776年7月4日の独立宣言を経てアメリカ合衆国が誕生し、アメリカ軍も正式にアメリカ合衆国軍となっています。アメリカ軍の歴史は、アメリカという国家の歴史と歩調を一にしています。
1861年4月に南北戦争が勃発するとアメリカ合衆国軍も北軍と南軍とに分裂します。南北戦争が続いた四年間、アメリカ軍は南北に分かれて内戦を戦い、戦争終結した1865年に再度統合します。同士討ちとも言える戦争の結果、南北合わせて62万人もの兵士が命を失っています。
1890年代に入るとアメリカ軍で海軍が創設されます。時の帝国主義に歩調を合わせる形でアメリカも海外進出を進め、海軍力を増強します。1898年の米西戦争などを経て、アメリカの帝国主義的膨張が本格化してゆきます。その後の第一次世界大戦および第二次世界大戦、それに続くソ連との冷戦やベトナム戦争などを経て現代に至るまでの歴史については、紙面の制約上割愛します。

六つの軍種で構成されるアメリカ軍
現代のアメリカ軍ですが、およそ220万人の人員によって構成されています。日本の自衛隊員数が約22万人ですので、10倍の大人数です。そのうち140万人が現役軍人で、80万人が予備役です。現役軍人の122万人がアメリカ国内で勤務し、18万人が日本を含む海外で勤務しています。
アメリカ軍は陸軍、海軍、空軍、宇宙軍、海兵隊、沿岸警備隊の六つの軍種で構成されています。創設は古い順で陸軍1775年、海軍1794年、海兵隊1798年、沿岸警備隊1915年、空軍1947年、宇宙軍2019年です。
アメリカ軍はまた、全軍を六つの地域別統合軍に分けて展開しています。具体的にはアメリカ本土、カナダ、メキシコを担当する北方軍、南米大陸、中南米、カリブ海を担当する南方軍、中東、南アジアを担当する中央軍、ヨーロッパ全域を担当する欧州軍、太平洋全域、東アジア、大洋州などを担当する太平洋軍、アフリカ全域を担当するアフリカ軍です。

アメリカ軍の軍事力は?
アメリカ軍は、年間予算8000億ドル(約128兆円)を財源に展開する世界最大の軍事組織です。潤沢な予算をもとに大量の人員と高度に近代化された兵器を運用し、世界最強の地位をほしいままにしています。
アメリカ陸軍は現役兵力45万人がM1エイブラムス戦車やブラッドレー装甲車などの近代兵器を扱い、強力な戦闘力を確保しています。HIMARSなどの長距離ロケット砲や各種の精密誘導ミサイルなども多く保有し、遠距離からの精密攻撃を可能にするなどしています。
アメリカ海軍も強大です。アメリカ海軍は現役兵力34万人、艦艇数290隻、航空機3000機以上を有する世界最大・最強の海軍です。特に原子力空母を中心に構成される空母打撃軍を11も有しており、他国を質的量的に圧倒しています。
アメリカ軍は、最終兵器である核戦力も世界最強レベルで運用しています。所有核弾頭数約5000発で、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、戦略原子力潜水艦搭載ミサイル、戦略爆撃機搭載ミサイルなど、目的に応じてそれぞれ運用しています。アメリカの核戦力は、相互確証破壊戦略を基本に「抑止力」としての機能を図るものとなっています。

シビリアンコントロールが基本のアメリカ軍
アメリカ軍の指揮命令系統ですが、シビリアンコントロール(文民統制)が基本です。アメリカ軍のトップ(Commander in Chief)は行政のトップであるアメリカ合衆国大統領です。核兵器の使用を含む軍事作戦の最終意思決定は大統領が行います。
大統領が下した命令は国防長官へ伝えられ、そこから管轄する統合軍司令官へ伝えられます。統合司令官から統合軍傘下の現場部隊へ伝えられ、作戦が実行されます。アメリカ軍の制服組トップは統合参謀本部議長(Chairman of the Joint Chiefs of Staff)ですが、命令などの意思決定はできず、あくまでも大統領や国防長官の「軍事顧問」的な役割となっています。
アメリカ軍におけるシビリアンコントロール採用の理由ですが、「軍の暴走を防ぎ、民主主義を守るため」です。アメリカ軍が対イギリスの独立戦争によって誕生したことを上述しましたが、当時のイギリス軍は強大な軍実力を持ち、民衆圧政の道具として使われていました。イギリスとの独立戦争を戦ったアメリカ建国の父たちは、「強大過ぎる軍は国民の自由を脅かす」と警戒し、建国当初より軍隊に力を与え過ぎない仕組みを敷いたのです。アメリカ合衆国憲法にも軍の最高司令官は大統領である旨がしっかりと明記されており、それがアメリカ建国以来の伝統となっているのです。
前田 健二(まえだ・けんじ)
上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。
