【アメリカ永住権】グリーンカードについての基本情報

駐在や留学などで一定期間アメリカに滞在している・していた方であれば、グリーンカードという言葉を聞いたことがあると思います。公式な統計などは存在しないのですが、アメリカには現在、累計で20万人から25万人の日本人がグリーンカード保持者としてアメリカに居住していると推定されています。ところで、グリーンカードとはそもそもどのようなもので、誰を対象にしていて、どのような理由で交付されるかなどについてはあまり知られていません。本記事は、そんなグリーンカードの基本についてお伝えします。
グリーンカードとは?
グリーンカード(Green card)正式名称US Lawful Permanent Resident Cardは、アメリカ合衆国が付与するアメリカ合衆国に合法的に滞在・労働することを認める永住許可証です。グリーンカード保持者はアメリカ市民と同様に、「アメリカのどこででも暮らせる権利」「ビザなしに就労する権利」「アメリカ国内で金融資産や不動産などの資産を形成する権利」「教育を受ける権利」などが与えられます。
アメリカ国内の大学へ通って企業に就職し、ローンを組んで住宅を購入するといった、普通のアメリカ人と同様の生活が認められているので、あたかも国籍が付与されたと思われがちですが、グリーンカード保持者にはアメリカ国籍が付与されていません。立場上は「合法永住者」であり、「アメリカ人」になるわけではありません。それゆえ、グリーンカード保持者には連邦関連選挙での投票権が与えられず、アメリカのパスポートも交付されません。あくまでも「アメリカに合法的に永住を認められた外国人」なのです。

グリーンカードの取得方法
そんなグリーンカードですが、どのようにして取得できるのでしょうか。通常は以下の5つのパターンがあります。
- アメリカ市民との結婚やスポンサーシップ
- 勤務先企業による申請
- アメリカ国内での投資
- 難民申請
- グリーンカードくじ
日本人のグリーンカード保持者で多いのは2の「勤務先企業による申請」だと見られています。アメリカには多くの日本企業が進出しており、多くの社員が日本から駐在しています。そうした社員のほとんどが就労ビザを取得して渡米していますが、駐在期間が長期になる人の場合、ビザの更新よりもグリーンカードを申請してしまった方が、手続きが簡単になります。実際にそのような人の多くは、会社がグリーンカードを申請してくれてグリーンカード保持者になっています。
また、1のアメリカ市民との結婚やスポンサーシップによってグリーンカード保持者になるケースも一定数あると推定されます。特にアメリカの大学を卒業してアメリカの会社に就職した人の中にはアメリカ市民と恋愛結婚をして、アメリカに留まる人が一定数いると見られます。さらに、両親の一方がアメリカ人である、あるいは親戚でアメリカに住んでいる人がアメリカ市民またはグリーンカード保持者で、そのつてでグリーンカードを申請するという人も一定数いると見られます。
さらに、意外に多そうなのが5のグリーンカードくじでグリーンカードを取得した人です。グリーンカードくじはアメリカ政府が運用している、アメリカ国内外に住むアメリカ永住希望者を対象にしたくじです。年間5万5千人を対象に付与され、主にアメリカへの移住者数が相対的に少ない国の国民を対象にしています。日本人も毎年一定数当選していて、昨年2025年度は149名が、2024年度は200名が当選したとされています。
余談ですが、筆者がロサンゼルスでビジネスをしていた1990年代から2000年代にかけては、アメリカで不法滞在する日本人が多く存在していました。そうした日本人不法滞在者は現地の寿司屋や居酒屋、あるいはヘアサロンなどで仕事をしていましたが、そうした人たちはほとんど全員グリーンカードくじに毎年応募していました。当時は今よりも日本人の当選ワクが多く用意されていたのか、応募した人の少なくない人が当選していました。なお筆者も何回か応募してみましたが、残念ながら不発に終わっています。

毎年120万人にグリーンカードが付与
なお、アメリカでは毎年120万人にグリーンカードが付与されています。付与された人の出身最多国はメキシコで、その数18万人、全体の15%を占めています。次いでキューバ(9万5千人)、インド(8万人)、ドミニカ共和国(7万人)、中国(6万人)となっています。アメリカにすでに住んでいるメキシコ人が結婚やスポンサーシップを通じてグリーンカードを取得させるケースが相当多いとされています。
ところで、現在日本在住中のアメリカへの移住をご希望の方にとって現実的なグリーンカード取得方法ですが、アメリカに市民権を持った親戚がいるなどのつてがまったくないという場合には、日本企業に就職してアメリカへ駐在してグリーンカードを取得するのが一番現実的だと思われます。また、アメリカ現地の日系企業に就職してグリーンカード取得を目指すと言うルートも考えられます。グリーンカードくじに毎年必ず応募し、地道に就職活動を行うことが、今の多くの日本人にとってのグリーンカード取得最適ルートであると言っていいでしょう。
前田 健二(まえだ・けんじ)
上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。
