【2026年6月最新版】増加するアメリカのフリーランス人口

ジョブマッチングサイト最大手のUpWorkがまとめたレポートによると、2026年3月時点のアメリカの労働者人口に占めるフリーランスの割合は39%に増加し、引き続き増加傾向にあります。アメリカの労働者人口1億7000人のうちの6630万人がフリーランスという計算ですが、増加の背景には何があるのでしょうか。アメリカの最新のフリーランス事情をお伝えします。

リモートワークの環境とツールの普及

フリーランス人口増加の最大の原因として考えられるのが、リモートワークのための環境とツールの普及です。UpWorkやFiverrといったフリーランスと求人企業をつなぐマッチングプラットフォームが普及し、フリーランスに仕事の機会をタイムリーに与える環境が整ってきています。また、ZoomやTeamsなどのオンラインミーティングシステムや、Slackなどのコミュニケーションツールの普及もフリーランス増加を後押ししています。

今やジョブエージェントやリクルーターなどの仲介人材をはさむことなく仕事を探すことが可能で、実際の仕事もリモートワークで完結できるものが増えています。上述のUpWorkのレポートは、フリーランスの28%が完全リモートワークで仕事をしていると答えていると伝えています。

自宅でリモートワークするフリーランス

複数のクライアント企業からの仕事を掛け持ちする人が増加

複数のクライアント企業からの仕事を掛け持ちできることもフリーランス人口増加の原因であると考えられます。UpWorkのレポートによると、フリーランスの63%が二社以上のクライアント企業から 仕事を請けていると答えており、「兼業」や「複業」が一般的になりつつあります。特に最近人気が高いAI関連職を手掛けるフリーランスは引っ張りだこで、単価の高い仕事を複数のクライアント企業から同時に請ける状態になっています。

金融調査会社のバンクレートによると、2024年時点のアメリカの労働者人口で本業以外に収入がある人の割合は36%に達しており、アメリカ人労働者の三人に一人は何らかの「兼業」や「複業」をしていることになります。そのような人の中には、「複業」が忙しくなって実質的にフリーランスになってしまった人も少なからず含まれていると推察され、アメリカ人労働者の「複業」志向トレンドが続く間は、フリーランス人口増加を促す要因になると予想されます。

ビデオ会議に参加中のフリーランス

固定費負担を嫌う企業の増加

人件費を含む固定費の負担を嫌う企業が増加していることも原因と考えられます。大手コンサルティングファームのデロイトが昨年2025年に行った調査によると、調査対象となった企業経営者の最大の経営課題は「固定費の削減」でした。企業トレンドとして「成長を前提にした投資よりも、現時点のコスト削減」のムーブメントが台頭しており、実際にエントリーレベルジョブと呼ばれる新卒学生用ポジションを削減したり、既存のワークフォースをAIに置き換えたりするケースが増加しています。

固定費負担を嫌う企業にとって、フリーランスは使い勝手が良い人材です。固定的な給与を支払う必要がなく、雇った分だけ、あるいは成果の分だけ支払えばいいのです。失業保険料や健康保険料の負担も必要ありません。さらに、正社員を採用するまでに必要となる採用コストも必要ありません。

固定費負担を嫌う企業の増加は、仕事を請けるフリーランスの「複業」志向と相まって、結果的にフリーランス人口を増やす基本的原因となっているように思われます。

オフィスで打ち合わせをするフルタイムワーカー

2027年には労働者人口の50.9%がフリーランスに?

統計調査サイトのスタティスタは、2027年にアメリカの労働者人口のうち8650万人がフリーランスになり、その割合は50.9%に達すると予想しています。また、企業のフリーランス活用志向もさらに広がり、調査対象となった企業経営者の48%がフリーランスを活用したいと答えています。

フリーランス人口増加に伴い、フリーランスの平均所得も増加が予想されています。UpWorkの調査によると、直近のフリーランスの平均年収は8万5000ドル(約1343万円)で、一般的なフルタイムワーカーの4万ドル(約632万円)の倍以上となっています。専門性の高いフリーランスの多くは年収10万ドル(約1580万円)以上を稼いでおり、今後も増加すると予想されています。

なお、UpWorkによると、職種ベースでもっとも高給のフリーランス職はAI・マシンラーニングエンジニアで、時給最大500ドル(約7万9000円)となっています。次いでサイバーセキュリティコンサルタント(同350ドル(約5万5300円))、ブロックチェーン開発者(同300ドル(約4万7400円))、フルスタック・ソフトウェアエンジニア(同300ドル(約4万7400円))、データサイエンティスト(同250ドル(約3万9500円))となっています。

AIエンジニアを筆頭に、時給単価が高止まりで推移しています。恒常的な人材不足と相まって、この分野のフリーランスは今後も売り手市場が続き、引き続き高給を獲得できる可能性が高いです。フリーランスを志す人においては、フリーランス労働市場の需給バランスを見ながら、自分の仕事を高く買ってくれる需要者を見つけることが成功のカギのひとつになりそうです。

執筆者

前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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