【アメリカ人の食生活】アメリカ人が好きなフードデリバリーアイテムは?

前回の記事「アメリカのオフィスワーカーは昼食に何を食べる?」で、昨今のアメリカ人オフィスワーカーのランチ事情について解説しました。ところで、アメリカ人と言えば外食大好きフードデリバリー大好きな人達ですが、アメリカ人が好きなフードデリバリーアイテムは何でしょうか。フードデリバリー大手のグラブハブが最新のデータを公開しているので、それをご紹介します。
アメリカ人のもっとも好きなフードデリバリーアイテムは○○○○○○○
フードデリバリー大手のグラブハブ(GrubHub)が定期的に公開している最新のデータによると、同社が受けた注文のデリバリーアイテムでもっとも多かったのが「フライドチキン」で、全オーダー数の30%を占めたそうです。「フライドチキン」の中でも「チキンウィング」がもっとも人気で、「チキンテンダー」「チキン・ピタ」「ボンレス・チキンブレスト」と続いており、骨付きのフライドチキンの人気が高いことがわかります。
州別では、南部諸州において「フライドチキン」の人気が高く、カリフォルニア州やニューヨーク州などのリベラルな州を圧倒しているそうです。特にケンタッキー州、テネシー州、ジョージア州での「フライドチキン」人気が飛びぬけています。中でもケンタッキー州はケンタッキー・フライド・チキン発祥の地でもあり、毎年「世界チキン祭り」が開催されるほどの「フライドチキン」好きな土地です。

2位と3位には定番の「あの料理」
2位にランクインしたのが「中華料理」です。アメリカでは中華料理が古くから定番のデリバリーフードになっていて、住宅密集地をターゲットにした中華料理屋が一定数存在しています。筆者もアメリカ滞在時代には結構頻繁に利用していて、ポストの中に投函された中華料理屋のデリバリーメニューをコンスタントに手にしていました。デリバリーで注文される中華料理の代表格は、「チャウメン」(焼きそば)や「フライドライス」(チャーハン)をベースにしたアントレーアイテムで、「オレンジチキン」「スウィート・サワーポーク」「ブロッコリー・アンド・ビーフ」などが人気のようです。
3位はピザです。デリバリーと言えばピザと言うくらいアメリカではポピュラーなデリバリーフードです。アメリカにおけるピザのデリバリーは第二次世界大戦後から本格化したとされ、主にヨーロッパ戦線で闘った兵士達が帰国してヨーロッパスタイルのピザを恋求めたのがきっかけとされています。1960年代にはピザのデリバリーボックスが発明され、今日のピザデリバリービジネスが本格化しました。以後、ピザデリバリーは、アメリカの文化と呼んで良いくらいアメリカの社会に定着しています。

4位5位には○○と○○○○がタイでランクイン
4位と5位には寿司とバーガーが7.5%の同率のタイでランクインしています。寿司は日本のバブル経済期頃よりアメリカでブレイクし始め、今日に至るまでに相当にアメリカナイズされてアメリカ社会に定着しています。
アメリカの寿司のデリバリーは、日本の寿司の出前とは完全な別物で、基本的には「ロール」と呼ばれる巻き寿司が主体です。その巻きずしもツナとカニ肉、アボカドを巻いた「カリフォルニアロール」や、エビの天ぷらを巻いた「天ぷらロール」、ウナギとキュウリ、アボカドを巻いた「ドラゴンロール」等々の、およそ日本の寿司の概念とは一線を画すものです。それらの大型の「ロール」を輪切りにして、大量の醤油に大量のワサビを溶かしてたっぷりつけて食べるのがアメリカ流です。

ポジションが固定化しつつあるアメリカのフードデリバリー
以下、6位7位に「メキシコ料理」と「パスタ」が同率でランクインし、「その他」が17.5%となっています。アメリカ人が好きなフードデリバリーアイテムは「フライドチキン」「中華料理」「ピザ」で全体の47.5%を占めており、ポジションが固定化しつつあるように見えます。これら三つのアイテムはアメリカ人社会≒アメリカ文化を象徴するものとなっており、今後も余程の事がない限り普遍であり続ける可能性が高いでしょう。
それでも、寿司が50年近い時間をかけてアメリカ社会へ溶け込み、今日までにローカライズされるまでに一般化したように、今後新たなデリバリーフードアイテムが登場し、同様にアメリカ社会へ溶け込む可能性がゼロではないでしょう。実際に、カリフォルニア州などでは新たなデリバリーフードアイテムとして、日本の牛丼や弁当などの人気が徐々に高まり、一定のプレゼンスを構築しつつあります。ただし、寿司やラーメンがアメリカ人に受け入れられ、一般化するまでに相当の時間がかかったように、そうした新参のデリバリーフードアイテムも相応の時間と「消費者ニーズによる矯正」が要求されることは間違いないでしょう。
そして、それらの新規のデリバリーフードアイテムも、先行事例と同様に、相応にアメリカナイズされてしまうことは言うまでもありません。牛丼や弁当がアメリカ人社会に受け入れられた時は、オリジナルとは大分違ったものになっている可能性が高いでしょう。
前田 健二(まえだ・けんじ)
上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。
