【アメリカ人の食生活】アメリカのオフィスワーカーは昼食に何を食べている?

前に「アメリカの伝統的な朝食『アメリカン・ブレックファスト』」という記事で、一般的なアメリカ人の朝食について紹介させていただきました。おかげさまで多くの方にお読みいただき、アクセス数も相当数を数えさせていただいております。それに続き、多くの方が関心をお持ちの「アメリカ人の食生活」シリーズとして、アメリカのオフィスワーカーの昼食事情についての現況を共有させていただきたいと思います。

高騰するランチのコスト

POSシステムソフト開発のBロジックシステムが今年2026年1月に実施した調査によると、アメリカの主要都市部で働くオフィスワーカーの、レストランなどでランチをとる平均コストは一人あたり23.60ドル(約3823円)と、過去最高となったそうです。

日本でもオフィスワーカーの飲食店でのランチのコストは昨今上昇していますが、アメリカでは特にニューヨークやロサンゼルスといった大都市のランチコストが上昇し、多くのオフィスワーカーの懐を痛めているようです。Bロジックシステムは、毎日オフィス外でランチをとる人が負担する年間コストは平均で5664ドル(約91万7568円)に達するとしています。

ランチコストは、在宅勤務とオフィスワークを併用しているハイブリッドワーカーにおいて特に高く、一日あたり最大55ドル(約8910円)にも達するそうです。ハイブリッドワーカーは通常のオフィスワーカーよりも上司や同僚とのフィジカルなリレーションをとる機会が乏しく、オフィスでの勤務日をその手段として用いる傾向が強いためだとしています。ちょっとしたレストランでランチを食べ、食後にカフェへ移動してコーヒーやスイーツなどを楽しめば、その程度のコストになったとしても不思議ではないかも知れません。

レストランで昼食をとる女性オフィスワーカー

オフィスワーカーの76%が「デスクランチ」で昼食

高騰する外でのランチコストを嫌ってか、オフィスワーカーの76%がいわゆる「デスクランチ」で昼食をとっています。さらに68%が自宅から持参したランチをデスクで食べているそうです。持参するランチでもっとも多いのがサンドウィッチで、「ハムアンドチーズ」「ターキーアンドチーズ」などがポピュラーのようです。サンドイッチと共にラップ(Wraps)も人気で、チキンやビーフ、トマトやレタスなどを小麦粉の皮で包んだものも人気の持参ランチメニューとなっています。

また、タッパーに「昨日の夕食の残り」を入れて持参したり、グリーン野菜の上にチキンやゆで卵を乗せたものや、グレインボウル(Grain bowl)と呼ばれるグラノラや玄米をベースに肉やハムなどを乗せたものなども良く食べられているようです。

ランチにサラダを食べる女性オフィスワーカー

テイクアウトで人気のメニューアイテムは?

持参ランチではなく、テイクアウトで人気なのは、デリ・サンドウィッチやファストカジュアルボウルです。アメリカのオフィス街を訪れたことがある人はご覧になったことがあると思いますが、アメリカのオフィス街にはデリ(Deli)が必ず存在しています。デリでは豊富な種類のサンドウィッチが簡単に購入でき、注文してすぐにオフィスへ戻れる迅速さも魅力です。価格もレストランなどと比較しても安く、コスト意識が高いオフィスワーカーに打って付けです。

また、グリーン野菜の上にグリルしたチキンやビーフを乗せた「プレミアム・サラダ」や、カリフォルニアロールやスパイシーロールといったアメリカ風寿司、ご飯の上に肉や魚などの具をのせた丼料理でハワイ名物のポキボウル(Poke bowl)なども人気です。

ニューヨークのデリ・サンドウィッチ

どんどん短くなるランチ時間

現在のアメリカでは、オフィスワーカーの五人のうち四人がオフィスの自分の机でランチを食べているわけですが、その背景には近年のランチ時間の縮小傾向があるとされています。

調査会社ロバート・ハーフが全米28都市に勤務するオフィスワーカー2800人を対象に実施した調査によると、アメリカのオフィスワーカーの一日あたりのランチ時間でもっとも多かったのが「30分以内」で、全体の56%でした。「1時間以上」と答えた人の割合はわずか3%で、上述の「デスクランチ」がマジョリティとなりつつある現状を如実に示しています。「30分以内」の中でも「11分から20分」が8%、「0から10分」が7%もいて、一般的な感覚における「ランチ休憩」が事実上とれていない人が相当数いることも明らかになっています。

AIの導入などによりさらなる経営の合理化が続くアメリカのビジネス界においては、人間の労働者に対する生産性向上の期待が一層高まっているようです。アメリカのオフィスワーカーの「デスクランチ」トレンド拡大とランチ時間の縮小は、現在進行形で進んでいるパラダイムシフトにより生じた「今そこにある現象」として捉えることができるでしょう。わずか20年ほど前には十分な時間をかけてランチを楽しむ「パワーランチ」の風習がアメリカに存在していたのですが、それが文字通り「ほぼ絶滅」しつつあるのが現在の状況であるのは、どうやら間違いではないようです。

執筆者

前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

当社は、海外事業展開をサポートするプロフェッショナルチームです。
お気軽にお問い合わせください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!