【アメリカの政治】アメリカ民主党についての基本情報

「アメリカ中間選挙の基本を学ぶ」という記事で、アメリカで四年に一度行われる大規模な国政選挙について解説しました。アメリカの政治は、民主党と共和党による事実上の二大政党制のもとで行われていますが、それぞれの党の政治理念や目指す政治体制、主たる構成員などはどうなっているのでしょうか。今回は、アメリカ民主党についての基本情報をお伝えします。

世界最古の現存政党の米民主党

米民主党(The Democratic Party)は1828年設立の、世界最古の現存政党です。建国の父の一人トーマス・ジェファーソンを祖とする民主共和党に端を発し、1830年代半ばごろまでに当時のアメリカのすべての州に支部を持つ全国的な政党として確立しています。当初から時の保守政党ホイッグ党(Whig Party)と対峙するかたちで二大政党を構成し、農民、都市部の労働者、カトリック信者などを主な構成員として勢力を拡大してきました。

結党当初から労働者階級やカトリック信者を核たる支持基盤としてきたところが今日の民主党と多分に重なっていることは決して偶然ではありません。民主党は、基本的に「労働者階級のための革新政党」であることが基本的な骨子であり、現在にもそのDNAが引き継がれています。

「ワックスホーの勇敢な少年(The Brave Boy of the Waxhaws)」に描かれたアンドリュー・ジャクソン

ニューディール政策が民主党飛躍の原動力に

200年の長い歴史を持つ民主党ですが、その飛躍の原動力となったのがニューディール政策です。ニューディール政策(New Deal Policies)とは、時のフランクリン・ルーズベルト大統領が1933年に打ち出した、世界恐慌からアメリカ経済を立て直すための一連の大規模経済政策のことです。政府による公共事業への大がかりな投融資が行われ、失業に苦しむ多くのアメリカ人に雇用機会を提供したほか、全米を縦断する高速道路網や、橋やトンネルなどの現代まで続くレガシーとなった大規模国家インフラを構築する結果となりました。

ニューディール政策は、それまでのアメリカの歴代政権が旨としてきた自由主義経済から政府による市場経済への積極的な関与を行う国家資本主義的政策へ転換したことが画期的であったとされています。「ケインズの経済理論を世界で初めて実施した政策」であり、レッセフェール式の自由主義経済が持つ誤謬をある意味乗り越えたもので、冷え込んでいたアメリカ経済を見事に立て直したのです。この、政府による市場経済への積極的な関与こそ、現在の民主党が掲げる経済政策を支える重要な骨子であることは言うまでもありません。

テネシー川開発プロジェクトで働く労働者たち

民主党の構成員

ところで、民主党の構成員はどうなっているでしょうか。調査機関ピュー・リサーチセンターの最新の調査によると、民主党支持者の人種別内訳は白人56%、黒人18%、ヒスパニック16%、アジア人4%となっています。民主党支持者の割合は黒人で多く、黒人の83%が民主党を支持しています。ちなみにアメリカ史上初の黒人系大統領となったバラク・オバマ氏や、史上初の女性副大統領となったカマラ・ハリス氏のいずれも黒人です。

若年層の支持率が高いのも特徴です。18歳から29歳の若者の66%が民主党を支持しており、1990年代から支持率が右肩上がりで上昇し続けています。

民主党支持者は共和党支持者よりも高学歴なのも特徴です。民主党支持者の学士号取得者の割合は55%で、共和党支持者の42%より13パーセンテージポイント高くなっています。民主党支持者と言えばニューヨークやロサンゼルスといった大都市部に住むインテリ層をイメージしがちですが、あながち間違いでもないようです。

信仰別では、民主党はリベラル政党を地で行く内容となっています。民主党支持者の約四割は無神論者や不可知論者などの「特定の信仰を持たない人」です。信仰を持つ人でもっとも多いのがキリスト教信者で、特にリベラルなクリスチャンやカトリックの割合が共和党信者よりも多いとされています。なお、J.F.ケネディ大統領や前大統領のジョー・バイデン氏のいずれもカトリックです。

選挙集会に集まった民主党支持者

これまでに16人の大統領を輩出

ほかにも、上述のニューディール政策で有名なフランクリン・ルーズベルト大統領や、第二次世界大戦を戦ったハリー・トルーマン大統領、公民権運動の父とされるリンドン・ジョンソン大統領、国際連盟の産みの親であるウッドロー・ウィルソン大統領、キューバ危機を乗り越えたものの凶弾に倒れたJ.F.ケネディ大統領などが挙げられます。最近では、大統領を二期連続で務めたビル・クリントン大統領や、バラク・オバマ大統領をホワイトハウスへ送り込んでいます。

気になる次の大統領選挙ですが、現時点で出馬が噂されているのは前回敗れたカマラ・ハリス氏のほかに、カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏、ゲイであることを公言しバイデン政権時代に運輸長官を務めたピート・ブティジェッジ氏、ニューヨーク州選出女性下院議員のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏らの名前が挙がっています。

執筆者

前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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