アメリカで法人設立するおススメの州は?

日本企業のアメリカ法人設立需要

 日本企業の海外展開をお手伝いしている弊社は、多くの企業から海外法人設立に関するお問い合わせやご相談をいただきます。特に欧州、アジア諸国などと並び、アメリカの現地法人設立のご相談を多く受けます。その中でも、アメリカに法人を設立するならどの州がおすすめかといったご相談をよくいただきます。

 アメリカに法人を設立するなら、果たしてどの州がおススメなのでしょうか。それとも、そもそも法人設立におススメの州などあるのでしょうか。今回は、その点について考えてみたいと思います。

アメリカに法人を設立する目的

 アメリカに法人を設立するご相談をいただく際に、我々が最初におたずねするのはアメリカに法人を設立する目的です。当然ながら、アメリカに法人を設立する以上何らかの目的があるはずです。まれにアメリカに法人を設立することが目的になっているケースもあったりしますが、通常は明確な目的が存在します。

 ある企業は、アメリカに現在日本で盛業中のラーメン店を開業する計画をお持ちでした。中国の某地方に伝わる独特の製麺技術を生かしたラーメンが売りで、東京都内にパイロット店を開業したところ大ヒットし、その勢いをもってアメリカへ進出したいというお話でした。

 マーケティングの基本はターゲティングですが、そのラーメン店のアメリカにおけるターゲットは、「現地に住む日本人・日系人」でした。なぜなら、アメリカで流行っている日本料理店の多くは、現地の日本人から人気が広まり、現地化するからです。

 となると、アメリカにおいて必要になる第一の条件は「日本人が多い州または街」です。アメリカで日本人が多く住む街は、1位ロサンゼルス(68,774人)、2位ニューヨーク(46,137人)、3位サンフランシスコ(18,862人)、4位ホノルル(16,306人)、5位サンノゼ(14,761人)です。カリフォルニア州が圧倒しているのが一目瞭然です。出店コストや運営コストなどを考慮し、ロサンゼルス近郊のウェストロサンゼルスあたりがおすすめという話になりました。

法人設立コストだけを考えるのなら

 一方で、現地に物理的な業務の拠点を置く必要がない、「バーチャル現地法人」を設立したいというケースも少なくありません。オンラインでゲームやコンテンツなどを提供するといったケースです。

 その場合に重要なのは、法人設立コストとその後の運営コストが安いこと、法人設立において物理的なオフィスを必要としないこと、口座を開設できる銀行が域内に存在すること、です。

 総合的に判断するに、我々の一番のおススメはワイオミング州です。ワイオミング州はアメリカで初めてLLC制度を導入した州として知られ、デラウェア州、ネバダ州などと並び、非常にビジネスフレンドリーです。設立費用とその後の維持費用が安く、法人税や所得税の安さもアメリカナンバーワンレベルです。旺盛な「バーチャル現地法人」設立ニーズに応じたエージェントも数多く存在し、費用も安いです。

 ただし、現地で銀行口座を開設する必要がある場合など、現地へ行く必要が生じた場合のアクセスの悪さが難点です。日本からの直行便がなく、ロサンゼルスなどを経由していく必要があります。また、航空券代金もロサンゼルス便などよりも割高になるでしょう。それでも、銀行口座開設時以外は現地に行く必要がないといった場合は、数年でトータルコストを回収できるでしょう。

Casper is a city in and the county seat of Natrona County, Wyoming, United States. Casper is the second largest city in the state

よく言われるデラウェア州は?

 ところで、アメリカで法人設立と言った場合によく引き合いに出されるのがデラウェア州です。デラウェア州では実際に多くのアメリカ企業が法人設立しており、全米の半数以上の企業がデラウェア州に法人登記しています。

 デラウェア州で法人設立する最大のメリットはビジネスフレンドリーな環境です。特に株主構成やマネジメントストラクチャーが複雑な大企業にとって、非常にフレンドリーな法律体系が整備されています。仮に何らかの訴訟などに巻き込まれた場合でも、裁判所が迅速に解決へ向けた調整をしてくれるとされています。

 また、将来上場を目指すベンチャー企業なども、多くがデラウェア州で法人を設立しています。デラウェア州には多くのベンチャーキャピタルが存在し、有望なベンチャー企業に投資をしています。ベンチャーキャピタルが投資をする条件として、デラウェア州のC
Corporationであることを指定するケースが多く、多くのベンチャー企業がそれに従っています。

 デラウェア州で法人設立するのは、アメリカで本格的に事業を展開し、上場などを目指す場合において最大のメリットを享受できると考えた方がいいでしょう。オンラインでのみ事業を展開する「バーチャル現地法人」の設立においては、それほどのメリットがあるとは考えられないかもしれません。

様々な条件を検討して決定を

 とどのつまり、アメリカのどの州で法人設立するかについては、事業目的や計画などのを踏まえ、様々な条件を検討して決定するほかないと言えるでしょう。設立費用や各種の税金が安いといった理由だけで決めるのは本末転倒です。法人設立はあくまでも手段であり、目的ではありません。ビジネス全体を鑑み、総合的・包括的に検討されることをおすすめします。

執筆者

前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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