【アメリカのプロスポーツ】アメリカンフットボールについての基本情報

各種のプロフェッショナルスポーツが盛んな国アメリカ。野球やサッカーなど、日本でもプロフェッショナルスポーツが人気ですが、アメリカは世界一と言って良いくらいプロフェッショナルスポーツが人気の国です。今回は、そんなアメリカのプロフェッショナルスポーツの中でも、特に人気が高いアメリカンフットボールについてお伝えします。
1800年代後半に誕生したアメリカンフットボール
アメリカンフットボール(アメリカでは単純に「フットボール」と呼びます)は、1800年代後半にラグビーとサッカーのルールをベースにアメリカで誕生したスポーツです。1869年11月にラトガーズ対プリンストン大学の間で初めて試合が行われ、1880年に「アメリカンフットボールの父」ウォルター・キャンプが現在のアメリカンフットボールの基本的なルールを制定し、標準化しました。選手11人枠による攻守別チーム編成(プラトゥーンシステムと呼ばれています)、10ヤード4ダウン制、ラインオブスクリメージといった現在にも通じるルールの多くがこの時点で採用され、現在に通じています。
アメリカンフットボールは、ハーバード大学、イェール大学、コロンビア大学、マクギル大学といったアメリカ東部の名門大学を中心に行われて人気を博し、当初は「大学スポーツ」として広がって行きました。やがて社会人や大学OBなどを中心に各地にクラブチームが結成され、クラブチームによる試合が行われるようになります。
1892年11月にアレゲニー・アスリート協会対ピッツバーグ・アスリートクラブの試合が500ドルの報酬付きで行われました。この試合がアメリカ史上初のプロフェッショナルなアメリカンフットボールの試合であるとされ、以後、アメリカンフットボールは全国のクラブチームを中心に試合が行われるようになり、一気に全国化していったのです。

NFLの誕生
1900年代に入ると、アメリカンフットボールは「大学スポーツ」としてだけでなく、クラブチームによる「プロフェッショナルスポーツ」として人気を博すようになり、1920年に10クラブチームが共同でオハイオ州カントンにAPFA(American Professional Football Association)を結成します。二年後にNFL(National Football League)に改名し、引き続き勢力を拡大してゆきます。NFLはやがて、1970年にライバルのAFL(American Football League)を買収、二カンファレンス制の時代に突入します。
設立時点で10クラブチームからスタートしたNFLですが、現在はアメリカ主要都市を中心に32チームを有するまでに拡大しています。32チームのうち、16チームずつNFC(National Football Conference)とAFC(American Football Conference)のどちらかのカンファレンスに属しています。

ルールは単純なアメリカンフットボール
アメリカンフットボールのルールは単純です。11人で編成されたチーム同士がボールを奪って前進し合い、敵のフィールドへ進入して得点を競い合います。オフェンス(攻撃)側とディフェンス(守り)側にわかれ、1クオーター15分4クオーターの60分間試合をします。オフェンス側は4回ダウンする前に10ヤード前進できれば新たに4ダウンの権利が得られ、10ヤードごとに権利が更新されてゆきます。10ヤード前進できないと権利が失われ、権利が相手チームへ移ります。敵のフィールドにダウンできればタッチダウンとなり6点が、敵のゴールポストへキックしてゴールできればフィールドゴールとなり3点が与えられます。また、タッチダウン後に付与されるゴールキックを決めれば、追加で1点が与えられます。
11人のチーム枠は、ロースター登録されている選手であれば誰でも埋めることができますが、通常はオフェンス、ディフェンスともに専門の選手によって構成されます。それゆえ、オフェンスとディフェンスでメンバー構成ががらりと変わります。オフェンス・ディフェンス共に選手登用の妙を尽くしあうのがアメリカンフットボールの醍醐味でもあります。

アメリカでもっとも人気のプロフェッショナルスポーツ
100年以上の歴史をかけてアメリカで育まれてきたアメリカンフットボールですが、現在でもアメリカでもっとも人気のプロフェッショナルスポーツです。アメリカの世論調査会社ギャラップが2024年に実施した調査では、「あなたがもっとも好きなプロフェッショナルスポーツは?」との問いに対し、41%のアメリカ人が「アメリカンフットボール」と答えています。「野球」と答えた人の割合が10%、「バスケットボール」と答えた人の割合が9%であることを踏まえると、アメリカ人のアメリカンフットボール好きが突出していることがわかります。
興行的にもアメリカンフットボールは突き抜けています。スポーツビジネスジャーナル誌によると、2024年度のNFLの年間収入は230億ドル(約3兆5650億円)で、他のプロフェッショナルスポーツを圧倒しています。NFLの年間王者を決めるスーパーボウルは、直近で1億2560万人が視聴するアメリカ最大のスポーツイベントとなっており、視聴率39.7%とダントツの一位となっています。スーパーボウルのハーフタイムショーのインターバルに放送される30秒テレビコマーシャルのスポンサー料も800万ドル(約12億4000万円)と高額で、他の番組コンテンツを大きく引き離しています。アメリカンフットボールは、アメリカを代表する国民的プロフェッショナルスポーツと言っていいでしょう。
前田 健二(まえだ・けんじ)
上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。
