【アメリカの政治】アメリカ共和党についての基本情報

前回の記事で、アメリカ二大政党のひとつである民主党の基本について解説しました。今回は前記事と同様に、ライバル政党のアメリカ共和党について解説します。アメリカ共和党についての基本情報に加え、ドナルド・トランプ大統領の次の共和党大統領候補についても最新の情報をお伝えします。
奴隷制反対主義者らが立ち上げた共和党
アメリカ共和党(The Republican Party)は、1854年に奴隷制の拡大を旨とする「カンザス・ネブラスカ法」(Kansas-Nebraska Act)の施行に反対する奴隷制反対主義者らが立ち上げた政党です。現存する政党としてはアメリカで民主党に次いで二番目に古い政党です。南北戦争開戦前に立ち上げられ、主に北軍の優勢州におけるプロテンスタント信者や企業経営者、工場労働者などが中心となって結党されました。やがて1861年に南北戦争が勃発し、共和党選出のリンカーン大統領の下で北軍が勝利して戦争を終結させたのはご周知の通りです。
今では保守政党を地で行く共和党ですが、結党当初は奴隷制に強固に反対する進歩主義的政党だったのは興味深い事実です。一方で、共和党支持者による奴隷制反対のスタンスは、現代風の人道主義的見地によるものではなく、あくまでも当時の共和党支持者においてアメリカ西部地域への進出による経済的利益が根底にあったとする見方が有力のようです。

共和党の代表的な経済政策、レーガノミクス
民主党の代表的な経済政策がフランクリン・ルーズベルト大統領による「ニューディール政策」であるとすれば、共和党のそれはロナルド・レーガン大統領による「レーガノミクス」であるとすべきでしょう。
レーガノミクス(Reaganomics)とは、1980年代にレーガン大統領が行った経済政策の総称で、前政権の産物とされたスタグフレーションの克服を目指したものです。レーガノミクスは、①大規模な減税、②連邦政府による支出の削減、③各種の規制緩和、④金融政策の引き締め、の四つの柱で構成されています。特に注目されたのが減税と規制緩和で、法人税や個人所得税、キャピタルゲイン税などを大幅に減税して手取り収入を増加させて規制緩和で新たに生まれた産業やサービスなどにお金を循環させる「トリクルダウン効果」を生み出すことに成功、スタグフレーションに苦しんでいた時のアメリカ経済を劇的に好転させたのです。
レーガノミクスの特徴を端的に言うと、「減税」「社会保障費などの政府支出の削減」「規制緩和を旨とする企業による自由競争」となり、とどのつまり「小さな政府」「低税負担」「自由競争」というエッセンスになります。このエッセンスは、現職の共和党選出大統領であるドナルド・トランプ氏の経済政策のそれと本質的な部分において相当程度重なっています。

白人がマジョリティの共和党
ところで、現在の共和党の支持者はどのような構成になっているでしょうか。調査機関ピュー・リサーチセンターが2024年に実施した調査によると、共和党支持者の79%は白人で、圧倒的マジョリティとなっています。次いで多いヒスパニックの9%と合わせると88%となります。民主党と比べて白人の構成比率が高いのが特徴のひとつです。
クリスチャンが多いのも特徴のひとつです。調査対象となった共和党支持者の81%が自らをクリスチャンであるとしています。クリスチャンの中でも特に多いのがいわゆる福音派(Evangelicals)のクリスチャンと呼ばれる人達で、共和党支持者の30%を占めています。
現職のトランプ大統領を支持する人の割合が多いのも特徴です。共和党支持者の84%がトランプ大統領を支持すると答えており、トランプ大統領への支持が鮮明になっています。トランプ大統領の支持率は昨今下がり気味ですが、共和党支持者の多くがトランプ大統領を支える「岩盤支持層」になっています。
不法移民の取締強化に賛成する人が多いのも特徴です。共和党支持者の78%が不法移民に対する取締強化に賛成だと答えています。また、61%が「不法移民はアメリカに滞在してはならない」と答えています。

歴代で最多の大統領を輩出した共和党
共和党は、これまでに歴代最多の累計で19人の大統領を輩出しています。アメリカ初の共和党出身大統領となったエイブラハム・リンカーン大統領、レッセフェール式経済政策の父となったカルヴァン・クーリッジ大統領、ウォーターゲート事件で有名になったリチャード・ニクソン大統領、上述したレーガノミクスの産みの親ロナルド・レーガン大統領、アメリカ史上初めて親子で大統領になったブッシュ大統領親子などが筆頭例として挙げられます。
2026年の大統領選挙ですが、筆頭候補は現職副大統領のJD.ヴァンス氏です。トランプ氏の後継者として注目されており、年齢も41歳と若く将来性も有望です。現在トランプ氏を支えている岩盤層からの支持も厚く、現時点で最有力の候補と言っていいでしょう。
現職国務長官のマルコ・ルビオ氏も有力候補です。経験豊富な政治家であり、対中強硬派としても知られる同氏は、特に共和党保守層からの多くの支持を集めています。ほかにも、現職会員議長のマイク・ジョンソン氏、グレン・ヤングキン・バージニア州知事、暗殺された保守系活動家チャーリー・カーク氏の妻エリカ・カーク氏なども候補者として名前が挙がっています。
前田 健二(まえだ・けんじ)
上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。
