【2026年度版】ジョブ・ディスクリプションの基本を解説

新年あけましておめでとうございます。本年も皆様の海外ビジネスが守られ、豊かに実りますことをお祈りいたします。

さて、新しい年を迎えて社内の人事などの体制が新しくなるという方も少なくないでしょう。ところで、アメリカでは人を採用する際に第一に必要になるのがジョブ・ディスクリプションです。ジョブ・ディスクリプションとは何か、書くポイントや実際の書き方などの基本について解説します。

ジョブ・ディスクリプションとは何か?

ジョブ・ディスクリプション(Job description)とは、企業が採用者に対して依頼する仕事の基本的な内容を記した説明書き(Description)のことです。日本語では「職務記述書」などと訳されたりもするようですが、一般的には英語のカタカナ読みでそのまま「ジョブ・ディスクリプション」として使われるケースが多いです。

ジョブ・ディスクリプションは通常、以下の項目で構成されます。

  1. Job Title(ジョブタイトル)
  2. Job Summary(サマリー)
  3. Duties and Responsibilities(職責)
  4. Qualifications(資格、経験、学歴など)
  5. Working Conditions(雇用条件)

また、必要に応じてJob Purpose(仕事の目的)、Report to(報告先上司・部門長)などの項目も使いますが、基本的には会社が明確にすべき内容を決めて必要な項目に情報をそれぞれ記します。必要最低限でOKという場合でも、1.Job Title、3.Duties and Responsibilities、5.Working Conditionsの三項目は必ず盛り込むようにすべきでしょう。

一般的なジョブ・ディスクリプションのイメージ

ジョブ・ディスクリプションが重要なワケ

アメリカで人を採用する際にほとんど必ず用いられるジョブ・ディスクリプションですが、なぜそれほど重要なのでしょうか。その理由は、ジョブ・ディスクリプションを用意することで自社が必要とする人材の職務内容やスペックなどが明確になり、雇用者・被雇用者の双方に情報を共有させ、マッチングのための共通理解を促すことができるからです。それにより、雇用のミスマッチを防ぎ、適切な雇用関係構築のための基礎を得ることができます。

ジョブ・ディスクリプションなしで人を採用することは、行き当たりばったりの雇用へつながり、ひいては雇用のミスマッチを招来する可能性を生じさせます。マネジメント層などの上級職になればなるほど、より詳細で明確なジョブ・ディスクリプションが求められ、ジョブ・ディスクリプションをベースにした採用活動を展開する必要があります。

面接を待つ応募者のイメージ

効果的なジョブ・ディスクリプションの書き方

では、効果的なジョブ・ディスクリプションを書くコツは何でしょうか。以下にまとめてみます。

■できるだけ簡潔に書く

ジョブ・ディスクリプションは、内容が多ければ多いほど、長ければ長いほど良いわけではありません。職務上職責などの項目が長くなりがちなケースにおいても、可能な限り簡潔に書く必要があります。最近のアメリカではSNSに採用活動としてジョブ・ディスクリプションを公開するケースが増えてきていて、それに応じた求職者が恒常的に情報を入手しています。情報の洪水の中で自社のジョブ・ディスクリプションを浮かび上がらすためにも、ジョブ・ディスクリプションの内容は簡潔にすべきです。

■曖昧な表現を避ける

特にDuties and Responsibilitiesについては、曖昧な表現を避け、できるだけ具体的に書く必要があります。例えば、Drive innovation(イノベーションを加速させる)、Contribute to project success(プロジェクト成功のために貢献する)、Handle a variety of tasks(たくさんのタスクを担当する)といった、具体的な内容が表されていない抽象的なケースです。一定の方向性や期待する活動などのイメージは伝わりますが、「何を」「いつまでに」「どの程度」といった要素が含まれていません。

■現実をベースに書く

また、実際にジョブ・ディスクリプションを書くに際しては、あくまでも現実をベースに書くことも重要です。特に初めてアメリカで事業を展開する日本企業の場合、アメリカではゼロベースでのスタートになります。スタッフやオフィスなどの資源が限られる中、無いない尽くしの状態から人を採用することになります。そうした場合、ジョブ・ディスクリプションに将来の夢や希望などを書き込み、採用候補者に良い印象を与えようと考えがちです。

しかし、ジョブ・ディスクリプションは、あくまでも会社の現在地と直近になすべき仕事と必要な人材について書かれるべきです。いたずらにシュガーコート(Sugar coat)せずに、現実をベースに書きあげましょう。

ジョブ・ディスクリプションを読む求職者

ジョブ・ディスクリプション作成はAIを使って

なお、ジョブ・ディスクリプションの作成にはAIを使うのが便利です。一般的な対話型AIであれば、Job TitleやDuties and Responsibilitiesなどを箇条書きにしてインプットすればジョブ・ディスクリプションを生成してくれます。また、最近はジョブ・ディスクリプション生成を専門に行う生成AIなども登場してきているので、必要に応じて使われるといいでしょう。

なお、生成AIでジョブ・ディスクリプションを作るのが一般的になってきましたが、それを人間の目で最終チェックすべきなのは言うまでもありません。ジョブ・ディスクリプションに盛り込むべき情報がしっかりと盛り込まれているか、シンプルで明確、わかりやすい内容になっているか等々、読み手の立場に立って確認することが必要です。AI時代においても、それを読むのは人間であることを忘れないようにしましょう。

執筆者

前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

当社は、海外事業展開をサポートするプロフェッショナルチームです。
お気軽にお問い合わせください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!