アメリカのセールスレップという人々、その2

セールスレップのお仕事

 前回の記事でアメリカのセールスレップという人々について書かせていただいたところ、少なからぬ反響をいただきました。日本ではあまり聞きなれないセールスレップという人々・仕事について、多くの方がご関心をお持ちのようです。そこで、今回はアメリカのセールスレップという仕事を、もう少し掘り下げてご紹介したいと思います。

 アメリカの転職支援会社のバランス・キャリアが、セールスレップの仕事を紹介する興味深い記事を掲載していますので、それを抄訳してみましょう。まず、セールスレップの仕事については:

Sales representatives sell products to businesses, organizations, and governments on behalf of manufacturers or wholesalers. They might work directly for the company producing the goods, or for an independent sales agency whose clients are manufacturers and wholesalers.

セールスレップは、メーカーや卸業者の代理人として、製品を企業、組織、政府に販売する。彼彼女らは、メーカーと直接契約するか、メーカーや卸業者をクライアントにしているエージェンシーと契約して仕事をする。

 と定義しています。セールスレップは、基本的には企業やエージェンシーと契約して仕事をする個人事業主であることがわかります。

 続けて、セールスレップの仕事については、次のように説明しています:

・法人に口座取引で販売すること
・新規および既存の顧客に対し、所定および期待以上の売上を達成すること
・店舗を訪問する際は、商品棚を整理、入れ替え、充填すること
・営業会議や実地トレーニングに参加すること
・営業上の困難に対し、交渉および説得術のスキルを用いること
・顧客に製品のプレゼンテーションおよびデモンストレーションを実施すること
・営業日報を作成し、マネジメントチームに報告すること

 基本的に、セールスレップの仕事は営業マンの仕事であることがわかります。

セールスレップの報酬

 セールスレップの報酬については、家電の卸売りのセクターが最も稼げるとした上で、次のデータを紹介しています:

・平均年収 79,680ドル(約860万円、時給38.31ドル)
・上位10%年収 156,630ドル(約1691万円、時給75.30ドル)以上
・下位10%年収  39,960ドル(約431万円、時給19.21ドル)以下

 出典: アメリカ合衆国労働省労働統計2018年版

 年収にかなりのばらつきがありますが、稼ぐ人は相応に稼げる職種であるようです。

セールスレップに求められる学歴、スキル

 また、セールスレップに求められる学歴については:

学士を取得していることを求める雇用主が少なくない。特にマーケティングを専攻していると有利になる。また、製品に関連する技術的または科学的な学位を保有しているとさらに有利になる。製品についての知識は、通常は雇用主から提供されるトレーニングで取得するケースが多い

 としています。さらに、求められるスキルについては:

・リスニングスキル:顧客のニーズ、ウォンツ、懸念に対応するために話をよく聞くスキル
・コミュニケーションスキル:販売する製品についての情報を正しく伝えるスキル
・対人能力:非言語的コミュニケーションを理解し、顧客と交渉して説得するスキル
・クリティカルシンキングスキル:考えられるオプションを比較検証し、最善のものを選択して意思決定するスキル
・カスタマーサービススキル:顧客からの質問、懸念、クレームに適切に対応するスキル

を挙げています。

セールスレップの労働環境

 さらに、セールスレップの労働環境については:

セールスレップは通常、多くの出張をこなしている。セールスレップの多くは州をまたいだテリトリーを担当し、長時間を営業旅行に費やしている。また、セールスレップの報酬は獲得する売上と連動しているため、多くの場合長時間労働となる。そのため、ほとんどのケースにおいてセールスレップの仕事はストレスフルなものとなる。労働時間は最低でも週40時間以上で、電話またはオンラインによる通話、製品の売り込み、受注、顧客訪問などに多くの時間が費やされる。

 となっています。セールスレップの仕事は、それなりに大変なものであるのは間違いないようです。

執筆者 前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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