アメリカのセールスレップという人々

セールスレップとは?

アメリカには、セールスレップ(Sales Rep)という仕事を生業にしている人々が多く存在します。セールスレップとは、Sales Representativeを略したもので、直訳すると「営業代理人」になります。アメリカで仕事をされた経験がある方、特にメーカーで営業系の仕事をされた方であれば、まず間違いなくこのセールスレップという人々に会われたか、または実際に仕事を依頼した方が少なくないでしょう。アメリカで製品を販売しようという時に高い確率で話に出てくるセールスレップとは、いったい何をする人達なのでしょうか。

 セールスレップとは、一言でいえばメーカーや卸業者の営業マンとして働く社外の個人事業主です。アメリカのセールスレップの歴史は長く、古くはイギリス植民地時代の物資調達人にまでさかのぼるとされています。セールスレップは通常、複数の企業の製品を取り扱い、自前の販売ルートまたは得意先へ商品を販売します。中には自家用車を改造してショールーム化し、それに製品やカタログを乗せて営業旅行をする人もいます。

アメリカでセールスレップが生まれた背景

 日本ではあまり馴染みがないセールスレップですが、なぜアメリカで一般化したのでしょうか。ある統計によると、現在のアメリカには190万人ものセールスレップが存在するそうですが、なぜそれほど多くの人がセールスレップという仕事をしているのでしょうか。

 その最大の理由はアメリカの国土の広さです。アメリカの国土は日本の25倍もあり、人口密度は日本の10分の1です。例えばメーカーの場合、アメリカ全土で自社製品を販売したいとした際に、全米各地に支店を作り、営業マンを配置するには膨大なコストが必要になります。それよりも、全米をいくつかのテリトリーに分け、それぞれのテリトリーにセールスレップを配置した方がコスト的に安く現実的です。通常、セールスレップは複数の企業の製品を扱うため、結果的にセールスレップのコストを複数社で分担することになるからです。

セールスレップの報酬

 気になるセールスレップの報酬ですが、どのようなものでしょうか。セールスレップは、多くが依頼企業の製品を自分の顧客に「紹介」し、メーカーと顧客の間で販売契約が締結され、顧客からメーカーに代金が支払われた際に紹介手数料を受け取ります。紹介手数料は通常、2%から20%程度とされています。紹介手数料は、販売の難しさ、販売数量、業界慣習などにより上下します。また、場合によっては固定フィーが支払われるケースもあります。

 セールスレップの中には、年収で20万ドル(約2160万円)以上稼ぐ人も存在するそうです。特に優秀なセールスレップは引っ張りだこで、社会的なステータスも相応に高いです。アメリカで営業キャリアを積んでいる人の多くは、最終的にはセールスレップを目指す人が少なくないそうです。

セールスレップの見つけ方

 では、実際にセールスレップをどのように見つけるのでしょうか。ネットが普及した現在では、まずはネット検索が第一でしょう。セールスレップは通常、業界ごとに専門特化しているので、「業界」+ 「Sales Representative」または「製品」+ 「Sales Representative」などで検索し、情報を集めるのがいいでしょう。また、LinkedInにも多くのセールスレップが登録しているので、LinkedInのサーチで探してみるのも手でしょう。

 また、セールスレップは、業界ごとに団体を組織しているケースが多いので、「業界」「Sales Representative」+「Association」などで検索し、業界団体を通じて探してみるのも有効でしょう。業界団体の中には、登録しているセールスレップを紹介してくれるところもあります。

 さらに、LinkedInやIndeedなどの求人機能を活用し、セールスレップを募集するという手もあります。多くのセールスレップは、自分の方から新しい商材を求めて企業へアプローチしてきます。御社の事業と製品が魅力的に映れば、セールスレップの方からオファーをしてくるでしょう。

日本企業も積極的にセールスレップの活用を

 アメリカでB2B商材、B2B2C商材を販売する場合、セールスレップの活用は必須です。これからアメリカ市場で自社製品の販売を検討される際には、セールスレップを効果的に活用されることをお勧めします。特に優秀なセールスレップは業界に特化しているので、そうした優秀なセールスレップをいかに確保できるかが成功のカギとなります。

 日本ではまずお目にかかれないセールスレップという人々とのネットワークを作り、彼彼女らの能力を最大限発揮してもらうことが肝要です。セールスレップを上手に活用し、アメリカでの販路開拓を成功させてください。
 

執筆者 前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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