BabyTech製品がアメリカで未だにブレークしていないワケとは?

2019.06.22 

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 赤ちゃんを対象にしたテック系コンスーマープロダクトのBabyTech(ベビーテック)。数年前からアメリカで台頭し始め、市場を広げつつありますが、今になっても今一つ盛り上がらないようです。CNETのテクニカルレポーターのイアン・シャー氏が、BabyTech製品が自分の心をまったく打たないわけを吐露しています。BabyTech製品がアメリカの消費者の心を、特にシャー氏のようなミレニアル世代の心を打たない理由は何でしょうか。

  • CNETのテクニカルレポーターの本音

 イアン・シャー氏は、「BabyTechメーカーよ、パパとママが本当に必要とするものを作ってくれ」というタイトルの興味深い記事をCNETに投稿しています。自らも1歳6か月の男の子の子育て中だというシャー氏は、日ごろBabyTech製品に数多く触れる中、その中で実際に使っているものがどれだけあるのかと自問しています。答えは、「ほとんどない」です。

 iPhoneがバージョンアップすると必ず買い替え、任天堂Switchが大好きだというテックファンの同氏が、BabyTech製品をほとんど持っていないのはなぜなのでしょう。アメリカのミレニアル世代は、シャー氏のようにBabyTech製品にほとんど関心やニーズを持っていないのでしょうか。

  • 小さすぎるBabyTech市場

 シャー氏は、BabyTech製品の市場がそもそも小さすぎるといいます。市場調査会社GfKによると、2017年に製造された全世界の家電製品のうち、ベビープロダクトとして製造されたものは全体の9%に過ぎなかったそうです。また、ベビープロダクトとして販売されたものではベビー用食品、ベビー用カーシート、乳母車の販売額がトップスリーで、いわゆるBabyTech製品はほとんど含まれていない状態だそうです。

 また、BabyTech製品を開発するスタートアップ企業に対する投資も小さいとシャー氏は指摘しています。独自開発した母乳ポンプを製造しているスタートアップ企業のナヤ・ヘルスの女性CEOジャニカ・アルヴァレズ氏は、シリコンバレーのベンチャーキャピタルが、彼女の会社の製品の技術的革新性をまったく理解していないと嘆いています。彼女がブルームバーグに伝えたところによると、ある有力ベンチャーキャピタルの幹部は、彼女の会社の製品に「触る」ことすら拒否し、彼女の会社への投資にまったく関心を示さなかったそうです。

 ベンチャーキャピタルからの前向きな資金投入が行われていないセクターでは、まともな技術革新も製品開発も行われません。技術を核にしたニュービジネスのエコシステムが、BabyTechのセクターでは未だ誕生していないと見るべきでしょう。

  • 高すぎるBabyTech製品

 シャー氏はまた、BabyTech製品の価格が軒並み高い事も問題点として挙げています。例えば、2018年のBabyTechサミットで最優秀製品ファイナリストに選ばれたVersaMe社の「スターリング」は、赤ん坊に話しかけられた大人の単語のユニーク数をカウントするというBabyTech製品ですが、価格が200ドルもするそうです。

 また、ベビーベッドに取り付けるタイプの赤ん坊監視カメラの「ナニット」も、単に赤ん坊を監視するだけの機能の製品で299ドルもします。さらに、タイムラスプ動画を見るには追加で100ドルも払う必要があります。

 シャー氏は、BabyTechサミットのプロデューサー、ジル・ギルバート氏の言葉を借り、「(BabyTech業界における)最大の問題は、BabyTech製品の高価格です。BabyTech製品を普及させるには、価格をもっと下げる必要があります。現在の価格はまったく馬鹿げています。BabyTech製品のメーカーには、真の問題を解決できる製品を開発し、単に「とりあえず持っておこう」という以上の感情をパパやママたちに持たせる必要があります」としています。

 BabyTech製品は、市場的には黎明期のフェーズにあり、今も開発の途上にあるとすべきでしょう。いずれにせよ、今後もさらなるイノベーションが重なれば、一気にブレークする製品が誕生する可能性もあります。現時点は、エコシステムを生む苦しみの過程にあると見るべきかもしれません。

ジェイシーズでは、アメリカのBabyTech企業のリサーチを行っています。お気軽にご相談下さい。