CEマーキング(CEマーク)とは

ヨーロッパで製品を販売したいという企業様は多いですが、ヨーロッパは日本以上に規制がとても厳しいです。特にEU(欧州連合)においては製品に関する共通の基準を設けており、EU内(正確にはEEA内+α)で製品を販売するためにはCEマーキングは必須です。弊社でもこのCEマーキングに関するお問い合わせをいただくことは多いですので、今回はCEマーキングについて取り上げます。なお、記載情報は2021年2月23日時点の情報ですので、最新の法令などは各自でご確認ください。

CEマーキングとは

CEマーキングのCEとはフランス語の「Conformité Européenne」の略で、欧州に適合しているという意味です。CEマークは、EEA(EU加盟国28カ国、スイス、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン)にて製品が高い安全性や環境保護の要件を満たしていることの証明です。しかし今日ではEEAの枠組みを超えて、アメリカのFDAと並んで製品の信頼性をうたう世界標準規格と見なされるようになってきました。このCEマーキングはEEAに加えて、トルコなどのEU加盟候補国が必須としているのみならず、コモンウェルス加盟国やASEAN加盟国、中東諸国でも推奨、要求されています。CEマークを貼付された製品はEEA内で販売するために必要な法的要件を満たしていることの証明です。そしてCEマーキングは他国で製造された製品に対しても適用されます。なお後日取り上げたいと思いますが、EU(欧州連合)を離脱したイギリスは含まれておりませんのでご注意ください。イギリスではCEマーキングに代わるものとしてUKCAマークが導入されています(北アイルランドは別規則があります)。

CEマーク

CEマーク

CEマーキング取得について

CEマーキングは製造者であるすべての企業に対して重い説明責任を課しています。したがってこの取得にあたっては厳格な手続きが求められます。

  1. 製品に適用される指令の確認
  2. 製品ごとにどの指令を適用すべきかを製造者の責任において、決定します。「指令(Directive)」とはEU内にて行われた意思決定の一つであり、全ての加盟国が各国内法に置き換えて適用を行います。有名な指令では環境や危険物質に関するRoHS指令などがあります。なお一製品あたり一指令というわけではなく複数の指令が適用対象となる場合もあるのでご注意ください。

  3. 各指令における整合する規格の選択
  4. 1で決定した適用指令ごとに整合規格が定められています。その中からCEマーキングを取得する製品に関係する規格を選定します。この規格についても指令同様に、一つの製品に対して複数の規格が関係する場合があるので、ご注意ください。

  5. 自己宣言のみか第三者認証機関(NB)による適合性評価が必要かどうかの判断
  6. 製品によっては自己宣言のみで可能なものもあります。この自己宣言とは、製造者である企業が4から5に記載する適合性評価、技術文書の作成を行い、「EU適合宣言書」を作成して自己宣言を行うものです。ただ指令・規格によってはNBによる適合性評価が必須である場合もあります。NBによる適合性評価を行なった場合も、上市後に問題が発生した場合の責任はNBではなく製造者自身にあることをご留意ください。

  7. 適合性評価
  8. 製品が2で選択した規格に対して適合しているかの試験・評価を行います。プランに沿った試験を行い、評価をレポートにまとめます。

  9. 技術文書の作成
  10. 適合性評価結果に加え、製品の詳細を記載した技術文書が必要です。これは設計書や取扱説明書など、CEマーキングで要求される事項が含まれていなければなりません。またEU加盟国の当局は常に市場を監視しており、製造者へ問い合わせがある場合もあります。その際に速やかに対応できるように適切に管理しておく必要があるでしょう。

  11. 適合宣言書の作成
  12. 製品を販売・流通する加盟国が定めた言語で記載された適合宣言書を作成し、代表者がサインします。宣言書は指令単位ではなく製品単位で構いませんし、EU域内の代理人が宣言することも可能です。代理人はEU当局から照会があった場合の窓口です。一部の指令によってはEU域内に代理人をおくことが定められていますが、すべての製品に適用されるわけではありません。これはどの製品にも共通しますが、製品に問題があった際などの責任は製造者自身が負うことになります。なお、この適合宣言書は出荷後10年間保存が必要です。

  13. CEマーク貼付
  14. 適合宣言書が完成したら、CEマークを貼付した製品をEEA内で販売することができます。マークの最小寸法なども定められていますので注意しましょう。

作成資料の保存は厳格に行う必要がある

作成資料の保存は厳格に行う必要がある

CEマーキング取得後の注意事項

このCEマーキングの基礎となっているのは、EU指令です。したがって指令が改正されると規格も改正され、CEマークに影響が及ぶ場合もあります。関係指令の改正には十分注意する必要があります。
直近で発生した大きな変更としてはやはり、イギリスのEU離脱関連でしょう。2021年末までは一部を除きイギリスでも現在のCEマークが利用できますが、UKCAマークへ置き換える必要があります。これは日本企業だけではなく各国も同様ですので余裕を持った対応が求められると思います。
また、何度も書きましたが、最終的な製品の責任は製造者自身にあります。したがって、関連文書などは適切に管理して何かあった際も即対応できるようにしましょう。

ジェイシーズではヨーロッパの現地担当者とともに皆さまのヨーロッパビジネスをお手伝いします。CEマークに関することも、お気軽にお問い合わせください。

執筆者 浜田真梨子(はまだ・まりこ)

執行役員 シニアマーケティングコンサルタント(欧州)

大手電機メーカーにて約10年に渡り、IT営業およびグローバルビジネスをテーマとする教育企画に従事した。その後コンサルタントとして独立し、日系・外資問わず民間企業や公的機関へのコンサルティングを行っている。中でもハンズオンベースでの調査から受注までの一連のプロセスをカバーする営業・マーケティング支援や、欧州拠点の設立などのサポートを得意とする。2016年には欧州で経営学修士号(MBA)を取得し、現在はドイツを拠点に活動している。

出典
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター (2021). 海外規格FAQ「CEマーキング」 – 都産技研ホームページ. Available at: https://www.iri-tokyo.jp/site/mtep/ce-general.html
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ) (2018). CEマーキングの概要:EU | 貿易・投資相談Q&A – 国・地域別に見る. Available at: https://www.jetro.go.jp/world/qa/04S-040011.html
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ) (2020). 英国政府、移行期間後の「UKCAマーク」のガイダンス公開(英国) | ビジネス短信. Available at: https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/09/adf861245c7a27ba.html
European Commission (2016). CE marking. Available at: https://ec.europa.eu/growth/single-market/ce-marking_en
European Union (2016). Regulations, Directives and other acts. Available at: https://europa.eu/european-union/law/legal-acts_en

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