【2026年度版】アメリカの最低賃金の最新情報

アメリカで人を採用する場合、雇用条件とりわけ賃金をどのように決めればいいのか。そんな場合に往々にして参考になるのが最低賃金です。トランプ政権下、インフレ基調が続くアメリカですが、最低賃金の水準はどうなっているのでしょうか。本記事では、アメリカの最低賃金についての基本的な情報を、主要各州の最低賃金の数字や今後の動きなどとともにお伝えします。
アメリカの最低賃金の基本
アメリカの最低賃金のベースとなっているのが、米連邦政府が定めた連邦最低賃金(Federal minimum wage)です。本記事配信時点の2026年1月19日現在、時給7.25ドル(約1124円)となっています。この金額は2009年7月24日に定められて以来、今日まで15年間据え置きとなっています。この金額はあくまでも最低水準であり、実際には、各州や市などのそれぞれの法律に基づいてより高い金額が設定されています。
なお、アメリカでは最低賃金で仕事をしている人の44.7%が16歳から24歳までの若者です。25歳から34歳までの労働者20.2%を加えると、64.9%の最低賃金労働者が34歳以下の若者ということになります。 産業別では「レジャー&ホスピタリティ」(Leisure and hospitality)が最も多く、労働者の62.5%が最低賃金労働者です。飲食店やホテルなどで働く労働者の多くが最低賃金か、それ以下で仕事をしている形です。彼彼女らのほとんどが賃金とは別に、客からもらうチップに依存している構造が見てとれます。

最低賃金が高い州
最低賃金は、実際には州や市などの自治体が独自に定めているケースが多いですが、最低賃金が高い州や市はどこでしょうか。以下に現時点における高い州と市のランキングです。
- ワシントンDC 17.50ドル
- ワシントン州 16.66ドル
- コネティカット州 16.53ドル
- カリフォルニア州 16.50ドル
- ニューヨーク市 16.50ドル
以下、デラウェア州(15ドル)、イリノイ州(15ドル)、メリーランド州(15ドル)、マサチューセッツ州(15ドル)、ロードアイランド(15ドル)、コロラド州(14.81ドル)、オレゴン州(14.70ドル)、メーン州(14.65ドル)などとなっています。
なお、最低賃金は州や市などによって違いますが、場所によっては業種や職種などによってさらに違う場合もあります。例えば、カリフォルニア州では、ファストフードレストランで働く労働者の最低賃金が20ドルに定められています。

最低賃金が低い州
一方、最低賃金が低い州は、連邦最低賃金をそのままその州の最低賃金としている州がほとんどですが、以下の通りです。
・アラバマ州(7.25ドル)
・ジョージア州(7.25ドル)
・アイダホ州(7.25ドル)
・インディアナ州(7.25ドル)
・アイオワ州(7.25ドル)
・カンザス州(7.25ドル)
・ケンタッキー州(7.25ドル)
・ルイジアナ州(7.25ドル)
・ミシシッピー州(7.25ドル)
・ニューハンプシャー州(7.25ドル)
・ノースカロライナ州(7.25ドル)
・ノースダコタ州(7.25ドル)
・オクラホマ州(7.25ドル)
・ペンシルバニア州(7.25ドル)
・サウスカロライナ州(7.25ドル)
・テネシー州(7.25ドル)
・テキサス州(7.25ドル)
・ユタ州(7.25ドル)
・ウィスコンシン州(7.25ドル)
・ワイオミング州(7.25ドル)
未だに多くの州が連邦最低賃金である7.25ドルをそのまま州の最低賃金としているのですが、それらの中にはボストンという相当の規模の商都ボストンを持つマサチューセッツ州や、ヒューストンやダラス、オースティンといった大都市を抱えるテキサス州なども含まれています。近年賃金水準が高いカリフォルニア州から、より安いテキサス州へ企業が移転するケースが増えてきていますが、両州の賃金水準の差は、最低賃金にもそのまま映し出されているようです。

2026年、最低賃金は上昇するトレンドに
未だに多くの州が連邦最低賃金を最低賃金としている状況ですが、今年2026年は最低賃金を引き上げる州が増えそうです。アメリカの情報雑誌The Hillによると、2026年に最低賃金引き上げを計画している州は19州に及ぶそうです。以下にそれらのいくつかをご紹介します。
・カリフォルニア州(16.90ドルへ値上げ。医療関係者は25ドルへ値上げ)
・フロリダ州(15ドルへ値上げ)
・ワシントン州(17.13ドルへ値上げ)
・ロードアイランド(16ドルへ値上げ)
・ニューヨーク州(ニューヨーク市およびロングアイランドは17ドルへ値上げ)
・ニュージャージー州(15.92ドルへ値上げ)
・ハワイ州(16ドルへ値上げ)
・コネティカット州(16.94ドルへ値上げ)
最低賃金の引き上げが続くカリフォルニア州ですが、多くの都市部ではさらに高く引き上げられる予定です。シリコンバレーの本山のサンノゼ市(18.45ドルへ値上げ)、ウェストハリウッド市(20.25ドルへ値上げ)、サンディエゴ市(17.75ドルへ値上げ)などです。
カリフォルニア州以外にも、コロラド州デンバー市(19.29ドル)、同ボーダー市(16.82ドル)、ミネソタ州ミネアポリス市(16.37ドル)、メーン州ポートランド市(16.75ドル)、ワシントン州シアトル市(21.30ドル)、ニューハンプシャー州サンタフェ市(17.50ドル)などで最低賃金の引き上げが予定されています。
前田 健二(まえだ・けんじ)
上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)
大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。
