アメリカの次世代を担う「ジェネレーションZ」という人達

ジェネレーションZをご存知ですか?ジェネレーションZ(Generation Z)は、1990年代中頃から2000年代前半に生まれたアメリカ人の世代グループです。年齢で言うと現在13際から22歳くらいの、ティーンエージャーを含む若いジェネレーションです。ジェネレーションZは、ジェネレーションXやミレニアル世代などの他の世代グループとは違う、独特の価値観や行動様式を持つとされています。本記事では、そのアメリカのジェネレーションZについて解説します。

ジェネレーションZの人口と人口構成

まず、アメリカのジェネレーションZの人口は何人でしょうか。アメリカのブルッキングス研究所の調査によると、2020年時点のアメリカの人口におけるジェネレーションZのシェアは20.3%です。アメリカの全人口は330,139,614人(2020年時点)ですので、ジェネレーションZの人口は67,221,341人です。

ジェネレーションZの人口構成ですが、他の世代よりも白人の占める割合が52%と低いのが最大の特徴です。ちなみにミレニアル世代(現在23歳から38歳までの世代)では61%、ジェネレーションX世代(現在39歳から54歳までの世代)では70%、ベビーブーマー世代(現在55歳から73歳までの世代)では82%となっています。アメリカでは、早ければ今後数年程度で白人の人口シェアが50%を切ると予想されていますが、ジェネレーションZの人口構成がそれを予見させています。

また、ヒスパニックの割合が高いのもジェネレーションZの人口構成の特徴です。そのシェア25%と、ミレニアル世代よりも8ポイント、ジェネレーションX世代よりも13ポイント、それぞれ高くなっています。

インターネットが当たり前のジェネレーションZ

次にジェネレーションZの特徴です。最大の特徴は、ジェネレーションZ世代は生まれた時にすでにインターネットと携帯電話がこの世に存在していたアメリカ初の世代だということです。物心つくころにはインターネットに触れはじめ、インターネットに常時接続している「コネクテッド世代」であると言えるでしょう。

インターネットに常時接続しているということは、インターネットを通じて世界中の人とつながる可能性があるということです。実際、多くのジェネレーションZ世代がインターネットを通じて友人や知人と交流しています。また、スマホの利用率も高く、ジェネレーションZ世代の98%がスマホを所有しています。

ジェネレーションZ世代は、他のどの世代よりもインターネットを使ったリサーチが上手いとされています。例えば、何らかのモノを買う場合、彼らはGoogleで検索し、レビューサイトのコメントを参照し、SNSなどで情報を集めます。それゆえ、ジェネレーションZ世代をターゲットにした製品を販売する場合、企業側は彼らのそうした購入パターンを理解し、それに合わせる必要があります。

経済マインドはしっかりしているジェネレーションZ

また、ジェネレーションZは、他の世代に比べて比較的経済マインドがしっかりしていると言われています。その理由として、彼ら彼女らの親の世代がリーマンショックを経験し、困難な時期を過ごすのを自らの目で目撃したからとされています。ジェネレーションZの多くが貯金に前向きで、アメリカ心理学協会の調査によると、ジェネレーションZが経済的にもっともストレスに感じるものは「借金」だそうです。

 実際に、ジェネレーションZは無駄な借金をしません。ある調査によると、ジェネレーションZの一つ上の世代のミレニアル世代が抱える教育ローンの平均借入残高は、ジェネレーションZの平均借入残高を169%も上回っているそうです。また、教育ローンを利用していない人の割合も84%と、ミレニアル世代を8ポイント、ジェネレーションX世代を9ポイント、それぞれ上回っています。

メンタル的には寂しがり屋で不安なジェネレーションZ

ジェネレーションZは、メンタル的には寂しがり屋で、多くが不安を感じているとされています。ウェスタン・ガバナーズ大学が行った調査によると、自分のメンタルヘルスが「良い」か「とても良い」と答えたジェネレーションZは、全体の45%にとどまっています。これは、ミレニアル世代よりも11%も低い数字です。ジェネレーションZは、「アメリカで最も寂しい世代」と言われるゆえんです。

また、ジェネレーションZは、全体の70%が「不安」や「鬱」を感じた経験があると答えています。性別、人種、家族構成、収入などを超えて、広い層が「不安」を訴えています。一方で、全体の37%しかカウンセリングや治療などの対応を得られていないとしています。ある専門家は、ジェネレーションZが生まれた頃から、アメリカが抱える様々な問題が深刻化し始めたことが影響していると指摘しています。政治的対立と分断、乱射事件などの銃犯罪の増加、人種間の憎悪、気候変動と異常気象、最近は新型コロナウィルスのパンデミックなど、確かに深刻な問題ばかりです。

メンタル的には不安な部分を残すジェネレーションZですが、そろそろ社会人になる年齢層が出始めています。アメリカの次世代を担うジェネレーションZに、色々な意味で注目してゆきたいと思います。

執筆者 前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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