コロナパンデミックの今こそ、日本企業はUS Amazonへ出品を

コロナパンデミックの現状、世界は今

 新型コロナウィルスの世界的な感染拡大が続いています。本記事執筆時点(2020年4月17日15時)での全世界の新型コロナウィルス感染者数は218万人を超え、死亡者数は14万6872人に達しています。感染者数と死亡者数が最も多い国はアメリカで、感染者数67万8千人、死亡者数3万4641人に達しています。

アメリカのほかに感染者数と死亡者数が多い国はヨーロッパに集中していて、スペイン、イタリア、フランス、イギリスなどはいずれも死亡者数が1万人を超えています。ヨーロッパ以外でもイラン、トルコ、ブラジル、カナダ、ロシア、イスラエルなどで感染者数と死亡者数が増えてきています。

 スウェーデンやドイツなどの一部の国では、いわゆるロックダウンなどを緩和したりする動きが見られますが、一方でロックダウンの期限を延長する国もあり、パンデミックそのものが収束する兆しはまったく見えていません。

 現在の世界は、ほとんどの国が国境を閉鎖し、人の動きを完全に止めた状態で、いうなればそれぞれの国が鎖国状態にあります。企業の中には活動を停止したり縮小したりするところも少なくなく、あらゆるビジネスが影響を受ける極めて深刻な経済状態を迎えつつあります。

アメリカの現状

 アメリカの現状は極めて深刻です。当初ワシントン州から始まったアメリカの新型コロナウィルスのアウトブレイクは、カリフォルニア州やニューヨーク州などの多くの人口を抱える州から同時多発的に広がり、瞬く間に全米のすべての州で感染者が発生する事態になりました。

 アメリカの中でも特に東海岸各州での感染が広がっていて、ニューヨーク州単独でも全米の死亡者数の三分の一を記録するまでになっています。ニューヨーク州以外でも、ミシガン州、カリフォルニア州、イリノイ州、フロリダ州、ルイジアナ州、テキサス州、ジョージア州などで感染者数と死亡者数が増加しています。

 アメリカのトランプ大統領はプレスカンファレンスで、カリフォルニア州などの一部の州でアウトブレイクがピークを迎えた可能性があるとし、早ければ来月5月初めにもロックダウンの緩和などを行い、経済を再開させたいとしています。しかし、トランプ大統領率いる新型コロナウィルス対策タスクフォースの中からも、早すぎる再開が感染の第二波をもたらす可能性があるとして反対の声が上がっています。

アメリカ経済にも大きな打撃

 新型コロナウィルスのパンデミックはアメリカの経済にも大きな打撃を与えています。ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネティカット州、ペンシルバニア州、カリフォルニア州などでは州単位でロックダウンが敷かれ、Stay at home orderという自宅待機命令が出されています。

レストラン、バー、小売店などの営業が禁止され、多くの人が職を失っています。ウォールストリートジャーナルによると、ロックダウンが開始されてから今日までの一カ月間に2200万人のアメリカ人が失業保険を申請し、アメリカ史上最大件数となっています。失業率も跳ね上がり、過去半世紀で最悪の18%に達しています。

 新型コロナウィルスのパンデミックは未だ続いているため、新型コロナウィルスのパンデミックによるアメリカの経済的損失が最終的にどの程度になるかはわかりません。しかし、経済学者の中には、新型コロナウィルスのパンデミックによるアメリカの経済的損失は、最終的にはアメリカのGDP全体の30%に達すると推定する人もいます。

パンデミックでも業績好調のAmazon

 そうした深刻な状況の中、業績好調なのがアメリカのAmazonです。多くの州で自宅待機命令が出され、多くの人が巣ごもり生活を余儀なくされています。そのため、Amazonで食料品などの生活必需品を購入する人が急増しているのです。業績好調から人手が不足し、Amazonはこれまでに17万5千人の新規従業員を採用するとしています。

 Amazonでは食料品などに加え、パソコン、家電、ゲームなども売れているようです。自宅からテレワークする人がテレワーク用パソコンやインターネット接続デバイスなどを購入し、学校に行けない子供たちがゲーム器やゲームソフトなどを購入しています。ソーシャルメディアに自撮り動画を投稿するためのビデオカメラなども売れているようです。

 Amazonの好調な業績は株価を押し上げ、同社創業者ジェフ・ベゾス氏が所有する株式の時価総額が2400億ドル(約26兆4千億円)増加し、1兆3850億ドル(約152兆3500億円)に達しています。

Amazonに出店するアメリカの事業者が増加

 好調なAmazonを好機ととらえ、Amazonに出店するアメリカの事業者が増加しています。特にロックダウンなどの影響を受けた事業者がAmazonに出品するケースが増えています。日本も同様ですが、特に新型コロナウィルス関連商品の在庫が逼迫し、マスクや消毒薬などの在庫が払底する状況に陥っています。

 新型コロナウィルス関連商品以外でも、小売店などの販路を絶たれたメーカーや問屋などがAmazonに販路を求めています。ロックダウン解除など、経済再開へ向けた動きが見えない中、事業者のAmazon志向は今後さらに強まると予想されます。

日本企業もAmazonに出店を

 新型コロナウィルスの感染拡大により、多くの日本企業も影響を受けています。アメリカと同様、小売店などの販路を絶たれた、営業中止を余儀なくされた企業も少なくありません。そうした企業を救うチャネルの一つとして、アメリカのAmazonを検討されることをお勧めします。

 アメリカのAmazonには日本からも出店が可能です。AmazonにSellerとしてアカウントを開設し、銀行口座などの情報を登録すればすぐにもビジネスを開始出来ます。

 食品や化粧品など、物によっては事前の手続きが必要ですが、多くの物は直接販売でき、日本からの発送が可能です。

 パンデミックが続く今こそ、日本企業はアメリカのAmazonへ出店すべきです。

執筆者

前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

ジェイシーズでは、日本企業のAmazon出店を支援しています。お気軽にご相談下さい。

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