アメリカで日本製食品を販売する際のFDAのルール

 アメリカのAmazonやeBayなどで日本製の食品を販売する人が増えています。日本製の食品をアメリカで販売するには、FDA(米国食品医薬品局)が定めたルールを守る必要があります。FDAとは何か、FDAのルールとは何か、注意するポイントをまとめました。

評価が高まる日本製の食品

 訪日外国人が増加しています。中国・韓国などの近隣国からの訪日客とともに、アメリカやヨーロッパなどからの訪日客も増加しています。東京、大阪、京都といったメジャーな観光地に加え、中国地方や東北地方などのローカルエリアへ足を運ぶ人も増えています。

 来日した訪日客が、日本製の食品を実際に食べてみると、その品質の高さに驚くそうです。特に女性は日本の食品のリピートユーザーになる人が少なくないようです。米Amazonのユーザーレビューにも、日本製食品のリピートユーザーであると説明している人が少なくありません(中にはシラタキにはまっているという人もいるそうです)。

 ところで、米Amazonなどで日本製の食品を販売するに際してはFDAが定めるルールを守る必要があります。しかし、米Amazonで日本製の食品を販売している人のほとんどが、FDAのルールを守っていないのです。

FDAとは何か

 FDAはFood and Drug Administrationの略で、米国食品医薬品局と訳されます。FDAは日本の厚生労働省に相当し、食品、化粧品、医薬品、医療機器などの販売、流通などを規制・管理しているアメリカの行政機関です。FDAのウェブサイトによると、「FDAの責務は、医薬品、動物医薬品、生物学的製剤、医療機器、食品、化粧品、電磁波を発する製品の安全性と有効性を保証し、アメリカ国民の健康を守ることである」となっています。

 つまり、食品や医薬品などの人の口に入るものや、化粧品のように人の肌に直接触れるもの、さらには医療機器などのそれぞれの安全性を確保し、アメリカ市民の健康を守ることがFDAのミッションです。

FDAのルール

 日本からアメリカへ食品を輸入し、販売するには定められた手続きが必要です。輸出する品目によって手続きが異なりますが、以下が求められます。

製造施設の登録

 2003年10月に施行された米国バイオテロ法の規定により、米国内で人または動物が消費する食品を製造・加工・梱包・保管する国内外の施設に対し、FDAに登録するよう義務付けています。つまり、アメリカに自社製品の輸出を希望する食品メーカーは、すべて製造施設を登録する必要があります。

 メーカーから物を仕入れて販売する業者の場合、メーカーに依頼して施設を登録してもらうか、自らを代理人として施設を登録する必要があります

 なお、日本から多く輸出されているサプリメントですが、FD&C法第201条の規定によりサプリメントも「食品」と定義され、その成分を製造・加工・梱包・保管する施設は登録が要求されます。

米国代理人の指定

 製造施設の登録とともに、FDAは製造施設の米国代理人の指定を義務付けています。米国代理人とは、緊急事態が発生した時にFDAが連絡を取る人のことですが、個人、パートナーシップ、企業、協会がなることができるとしています。ただし、いずれもアメリカ国内にビジネス拠点または居住場所を持たなければならないとされています。

 アメリカにビジネス拠点がある法人や個人の場合、その拠点で勤務する人を米国代理人にしていしますが、そのような拠点がない場合は、第三者の米国代理人を指定するケースが多いようです。なお、海外の事業者の米国代理人を引き受けるサービスを有料で提供する業者も存在しています。

 なお、製造施設が米国代理人を置かない状態でアメリカへ商品を輸出した場合、FDAは「当該施設が職務を務めることに同意する米国代理人を記載し登録するまで、当該施設から輸入のために持ち込まれた積荷を到着米国港で保留することができる」としています。

適正製造規範(GMP)の順守

 FDAは、食品医薬品化粧品法に基づき、食品の安全性を確保するための食品の製造、包装、保管などの適正製造規範(Good Manufacturing Practice: GMP)と呼ばれる衛生基準を設定しています。GMPを遵守せずに製造された食品は「不良食品」とされ、輸入が禁止されます。

ラベルの英語での表示

 次にラベルの英語での表示です。FDAは、アメリカ国内で流通する食品のラベルに表示する項目を厳格に定めています。具体的には、食品名称、内容量、原材料名、栄養成分、製造業者名称および住所、警告および取り扱い上の注意、原産国、アレルギー物質表示です。また、ラベルのサイズや表記の仕様にも細かい規定があります。

執筆者 前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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