インフレが進行するアメリカ・主要都市の物価はどうなっている?

アメリカでインフレが進行しています。米労働省の発表によると、アメリカの2022年6月のCPI(Consumer Price Index, 消費者物価指数)は9.1%で、1981年11月以来最大の伸び率となりました。家賃、食料品、ガソリン代といった生活必需品の価格が軒並み上昇し、庶民の暮らしを大きく圧迫しています。

本記事では、アメリカの各都市の物価情報を共有しているウェブサイトNUMBEOから、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの、それぞれの都市の最新の物価を紹介します。なお、ドル円両替レートは、本記事執筆時点(2022年8月10日、135.9円)のものを用いています。

ニューヨーク

(サマリー)
・家賃を除いた四人家族の平均生活費 5,142,52ドル(69万3769円)
・家賃を除いた独身者の平均生活費 1,395.42ドル(18万8254円)

(食料品)
・マクドナルドのマックミールセット(コンボミール)10ドル(1359円)
・牛乳(1リットル)1.21ドル(164円)
・白パン(500グラム、1ローフ)3.99ドル(542円)
・米(1キロ)7.20ドル(978円)
・卵(12個入り)4.03ドル(548円)
・ローカルチーズ(1キロ)17.13ドル(2328円)
・鶏肉(モモフィレ肉、1キロ)16.44ドル(2234円)
・牛ひき肉(1キロ)20.25ドル(2752円)
・レタス(1個)2.7ドル(367円)
・ミネラルウォーター(1.5リットルボトル)2.41ドル(328円)
・アメリカ国産ビール(500ミリリットル)3.89ドル(529円)
・輸入ビール(330ミリリットル)4.06ドル(552円)

(エネルギー)
・ガソリン(1リットル)1.31ドル(178円)
・水道光熱費(85㎡アパート用電気、ガス、水道、ごみ処理)161.97ドル(2万2012円)

(家賃)
・1ベッドルームアパート(市中央エリア) 3,951.03ドル(53万6945円)
・3ベッドルームアパート(市中央エリア) 7,152.94ドル(97万2085円)

ロサンゼルス

(サマリー)
・家賃を除いた四人家族の平均生活費 3,931.69ドル(53万4317円)
・家賃を除いた独身者の平均生活費 1,078.81ドル(14万6610円)

(食料品)
・マクドナルドのマックミールセット(コンボミール)9.25ドル(1257円)
・牛乳(1リットル)1.13ドル(154円)
・白パン(500グラム、1ローフ)3.67ドル(499円)
・米(1キロ)5.74ドル(780円)
・卵(12個入り)3.47ドル(472円)
・ローカルチーズ(1キロ)12.05ドル(1638円)
・鶏肉(モモフィレ肉、1キロ)11.39ドル(1548円)
・牛ひき肉(1キロ)17.99ドル(2445円)
・レタス(1個)1.71ドル(232円)
・ミネラルウォーター(1.5リットルボトル)2.01ドル(273円)
・アメリカ国産ビール(500ミリリットル)2.88ドル(391円)
・輸入ビール(330ミリリットル)3.24ドル(440円)

(エネルギー)
・ガソリン(1リットル)1.62ドル(220円)
・水道光熱費(85㎡アパート用電気、ガス、水道、ごみ処理)135.02ドル(1万8345円)

(家賃)
・1ベッドルームアパート(市中央エリア) 2,554.57ドル(34万7166円)
・3ベッドルームアパート(市中央エリア) 4,636.63ドル(63万118円)

サンフランシスコ

(サマリー)
・家賃を除いた四人家族の平均生活費 4,895.90ドル(66万5353円)
・家賃を除いた独身者の平均生活費 1,351.18ドル(18万3625円)

(食料品)
・マクドナルドのマックミールセット(コンボミール)12ドル(1631円)
・牛乳(1リットル)1.50ドル(204円)
・白パン(500グラム、1ローフ)4.59ドル(624円)
・米(1キロ)5.30ドル(720円)
・卵(12個入り)5.18ドル(704円)
・ローカルチーズ(1キロ)18.73ドル(2545円)
・鶏肉(モモフィレ肉、1キロ)16.75ドル(2276円)
・牛ひき肉(1キロ)18.15ドル(2467円)
・レタス(1個)2.40ドル(326円)
・ミネラルウォーター(1.5リットルボトル)2.25ドル(306円)
・アメリカ国産ビール(500ミリリットル)3.33ドル(453円)
・輸入ビール(330ミリリットル)3.88ドル(527円)

(エネルギー)
・ガソリン(1リットル)1.64ドル(223円)
・水道光熱費(85㎡アパート用電気、ガス、水道、ごみ処理)218.16ドル(2万9648円)

(家賃)
・1ベッドルームアパート(市中央エリア) 3,237.90ドル(44万30円)
・3ベッドルームアパート(市中央エリア) 5,623.68ドル(76万4258円)

インフレはピークを迎えたとするが

いかがでしょう。日本、特に東京の物価と比較してみて、家賃や食料品が大きく上昇していることがわかります。特にニューヨークの家賃は高く、ワンベッドルームのアパートの家賃が3,951.03ドル(53万6945円)もします。これでは、市井のアメリカ人がニューヨークの中央エリアに住むことは極めて困難でしょう。なお、ニューヨークでは郊外でもワンベッドルームのアパートの家賃が2,339.74ドル(31万7970円)もします。

FRB(米連邦準備制度理事会)による度重なる利上げの効果もあり、アメリカのインフレは前月7月にピークアウトしたとする見方もあります。一方で、高騰する生活コストのために路上や車中での生活を余儀なくされている人が相当数増加しているようです。インフレは、現在のアメリカ市民が直面する最大の死活問題であり、同時に現政権が直ちに対応しなければならない課題です。今年はアメリカの中間選挙の年ですが、先日議会を通過したインフレ抑制法案の今後の展開を、多くのバイデン政権関係者が固唾を飲んで見守っていることでしょう。

執筆者

前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員
シニアマーケティングコンサルタント(北米統括)

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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