Use Taxとは何か?Use Taxの基本を解説

Use Tax(ユースタックス)をご存じですか?日本ではあまり馴染みがないUse Taxはアメリカのほとんどの州で導入されていますが、Use Taxが具体的にどのような税金で、誰がどのようにして納めているかを正しく説明できる日本人は少ないと思われます。あるいはUse Taxという言葉なんか聞いたことがないという方も少なくないでしょう。本記事は、日本在住の方を対象に、アメリカのUse Taxの基本を解説します。

Use Taxとは?

Use Taxは、日本では「使用税」と訳されますが、文字通り「使用」に際して課税される税金です。Use Taxは、Sales Tax(消費税)の「鏡」のような税金であるともされていて、居住地の州内で州外のモノやサービスを購入した際に消費者に課せられる「州外版消費税」のようなものであると言えるでしょう。

アメリカでは消費税は州単位で課税されますが(当然ですが、税率も州、郡、市によって違います)、消費税は通常、消費者が州内でモノやサービスを購入する際に販売価格に上乗せして徴収されます。しかし、消費者が州外からモノやサービスを購入する場合、当該州には税金は支払われません。同じモノやサービスを購入するにしても、消費者が州内で購入した時だけ税金を支払うのは公平ではないため、州外から購入した時にUse Taxを課すようにしたのです。

なお、Use Taxの定義や対象となるモノやサービスなどの規定は州ごとに定められており、微妙に違うので注意が必要です。例えばハワイ州では、Use Taxとは「州外のセラーから、ハワイ州内で使用するものを購入または輸入した際に課せられる税金です。GET(ハワイ州の消費税)の登録をしていない州外のセラーから購入した場合、購入者に対して課税されます」と定義しています(出典:An Introduction to the Use Tax, State of Hawaii Department of Taxation)。

Use(使用)とは何か?

ではUse(使用)とは、具体的に何でしょうか。ハワイ州では「ハワイ州でのUse(使用)とは、グッズ、無形資産(Intangible)、サービス、ハワイ州内での再販またはリースなどの、個人またはビジネスでの利用、またはあなた自身による消費のことである」と定義しています。

また、具体的に課税対象となるモノやサービスの例としては、「衣類、機器、サプライ、食品、家具、玩具、リペアサービス、コンサルティングサービス、法律サービス、医療サービス、オンラインソフトウェア、建設サービス、エンジニアリングサービス」などが、それらに必ずしも限定されずに、挙げられるとしています。なお、具体的に課税対象となるモノやサービスの定義についても、州ごとに微妙に違うので注意が必要です。

Use Taxを納めるのは誰か?

Use Taxは、州内の消費者が州外のセラーからモノやサービスを購入した際に消費者に課せられる税金ですから、Use Taxを納めるのは消費者自身ということになります。これが、Use TaxとSales Taxの最大の違いです。Sale Taxの場合、消費者が負担するのは同じですが、Sales Taxを納めるのはモノやサービスを販売したセラーです。Sales Taxは、セラーが消費者から税金を預かり、税務当局に納めるというフローを経るのが基本です。しかし、Use Taxの場合、セラーが中間に存在せず、消費者が税金を直接税務当局に納めるというフローを経ます。

日本在住者もアメリカのUse Taxと無縁ではない

ところで、本記事はなぜアメリカのUse Taxについて、日本在住者を対象に解説しているのでしょうか。理由は、日本在住者もアメリカのUse Taxと無縁ではないからです。特に、アメリカの消費者にモノやサービスを販売している日本の個人や事業者にとって、アメリカのUse Taxは無縁どころではなく、非常に関係があるトピックなのです。

例えば、日本在住のウェブデザイナーがカリフォルニア州サンフランシスコ市在住のベンチャー企業からウェブデザインの仕事を1万ドル(約130万円)で請け負ったとします。成果物をデジタルデータで先方に納品し、制作料をドルで受け取り、取引終了となりました。それにより、デジタルデータの購入者に対し、8.625%のUse Taxが課せられることになります。

あるいは、日本在住の翻訳者がワシントン州シアトル市在住の保険会社から英日翻訳の仕事を5000ドル(約65万円)で請け負った場合も同様です。上と同様にデジタルデータで先方に納品し、翻訳料をドルで受け取り、取引終了となりました。それにより、デジタルデータの購入者に対し、10.25%のUse Taxが課せられることになります。

いずれのケースにおいても、日本にいるこちらサイドで何かしなければならないということはありませんが、そのような取引を行う際は、相手側でUse Taxの納税義務が生じることについては知っておいた方がいいでしょう。

アメリカからの売上金額が大きい場合は別の対応が必要になる可能性も

ところで、上述のようなかたちでアメリカと取引をしていて、売上金額が相応に大きい場合は別の対策が必要になる可能性があります。本記事では触れませんが、アメリカの多くの州では、外国企業のアメリカでの売上金額が規定以上に達した場合、実質的な経済的つながりがあるとしてエコノミック・ネクサスと認定するとしています。このエコノミック・ネクサスについては、次回の記事で解説させていただきます。

執筆者 前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

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