【2021年10月11日更新】アメリカで広がるコロナワクチン接種義務化の波

アメリカに空路で入国する外国籍の成人に対してコロナワクチン接種が義務化

アメリカ現地時間の2021年9月20日、ジョー・バイデン米国大統領が新型コロナウィルス感染拡大防止のため、11月上旬からアメリカに空路で入国するすべての外国籍の成人に対してワクチン接種を義務化すると発表しました。これにより、ワクチン接種とその証明がないとアメリカへ入国できなくなりました。新たなルールの適用開始日は未定ですが、それまでは現行のルールが適用されます。

現行のルールでは、航空機でアメリカへ入国するすべての人に対し、搭乗日の三日前以内のウィルス検査の受診と、結果を記した証明書または電子コピーの提示が求められています。搭乗日から三日前以内にウィルス検査を受けて結果が陰性であることを証明するか、新型コロナウィルス感染症から回復したことを証明しなければ航空会社に搭乗を拒否され、結果的にアメリカへ渡航できません。なお、現行のルールでは、ワクチン接種は必ずしも求められていません。

アメリカのコロナワクチン接種状況

ところで、現時点のアメリカのコロナワクチン接種状況ですが、本記事執筆時点(アメリカ現地時間の2021年10月9日)で、接種率(少なくとも1回のワクチン接種を受けた人の割合)65.8%、完全接種率(2回接種するなどしてワクチン接種を終えた人の割合)56.8%となっています。同じ時点の日本の接種率が73.2%、完全接種率が63.5%ですので、アメリカよりもワクチン接種を遅くスタートさせた日本を下回る状態になっています。

州別の完全接種率では、バーモント州(70.2%)、ロードアイランド(69.3%)、メーン州(69.1%)、マサチューセッツ州(68.5%)、ニューヨーク州(64.5%)、ニューメキシコ州(63.8%)、ワシントン州(61.9%)、オレゴン州(61.6%)、バージニア州(61.4%)、カリフォルニア州(59.7%)などの州が平均より高くなっています。

一方で、ウェストバージニア州(40.7%)、ワイオミング州(42.4%)、アラバマ州(43.4%)、ノースダコタ州(44.9%)、ルイジアナ州(46.1%)、アーカンソー州(46.3%)、ジョージア州(46.5%)、サウスカロライナ州(48.2%)、オクラホマ州(48.4%)、ミズーリ州(48.6%)、インディアナ州(49.0%)など、中南部の州を中心に平均より低くなっています。

ロサンゼルスでも飲食やショッピングにワクチン接種が義務化へ

また、ニューヨークに続いてロサンゼルスでも、飲食やショッピングに際してワクチン接種が義務化されます。ロサンゼルス市議会が採択した市条例は、飲食店や小売店などを利用するすべての人にワクチン接種か、ウィルス検査結果が陰性であることを証明することを求めています。また、スポーツ観戦やコンサートなどの1万人以上が参加する屋外イベントの参加者に対しても、同様のルール適用を求めています。

来月11月4日以降、ワクチンを接種するか、ウィルス検査結果が陰性であることを証明できないと、ロサンゼルス市内では飲食店や小売店が利用出来なくなり、屋外の大型イベントなどへ参加出来なくなるので注意して下さい。

広がるワクチン接種義務化の波

現在、アメリカ人の4人に1人が何らかの理由でコロナワクチンの接種を拒否しているとされています。一方、頑な「ワクチン接種拒否者」にワクチン接種を促すべく、ワクチン接種義務化の波が広がっています。

アメリカ現地時間の2021年9月10日、バイデン大統領はすべてのアメリカ連邦政府職員と連邦政府と取引をする業者の従業員にワクチン接種を義務付けると発表しました。新ルールはさらに、従業員数100名以上のすべての企業の従業員と、公的医療保険メディケア・メディケイドと取引している医療機関の関係者に対してもワクチン接種を求めています。ルールに従わない場合は、最大14,000ドル(約154万円)の罰金が課せられるとしています。

民間企業の中にも従業員に対してワクチン接種を義務化するところが出始めています。SNS大手Facebookは、2022年1月からの通常のオフィス業務再開を計画していますが、それまでにすべての従業員に対してワクチンを接種するよう求めています。Googleも同様に、オフィスでの勤務を希望するすべての従業員に対してワクチン接種を求めています。ハンバーガーチェーン大手のマクドナルドも、すべてのオフィスワーカーとオフィスへの訪問者に対して、10月11日までのワクチン接種を求めています。このように、大手企業を中心に、ワクチン接種拒否者にワクチン接種を求める機運が高まっています。

筆者の個人的な予想では、ワクチン接種義務者の中でも仕事を抱えている人の多くは、職場や取引先の圧力により、最終的には嫌々ながらもワクチン接種を受けることになると思います。ワクチン接種を受ける理由が、仕事を失うなどの「経済的な理由」であるとすれば、それはいかにもアメリカらしいと言えるかも知れません。

※株式会社ジェイシーズでは、引き続きアメリカの新型コロナウィルスに関する情報を収集し、随時アップデートしてゆきます。

執筆者 前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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