アメリカのフリーランサーはいくら稼いでいる?

2020.11.03

アメリカのフリーランサーの現状

アメリカはフリーランサー大国です。アメリカのアウトソーシングサイト大手Upworkが昨年行った調査によると、アメリカのフリーランサー人口は5,700万人で、全労働人口の35%に達しているそうです。今やアメリカの労働者の三人に一人がフリーランサーになる計算です。また、フリーランサーが稼いだ収入も大きく増加し、総額で1兆ドル(約106兆円)に達したそうです。

同調査はまた、フリーランサーが自主的にフリーランサーになったのか、または止むを得ずフリーランサーになったのかについてもたずねています。それに対し、63%のフリーランサーが自主的にフリーランサーになったと答えています。2016年に行われた前回調査から10ポイント増加しています。

さらに、79%のフリーランサーがフリーランスは伝統的な雇用のワークスタイルよりも好ましいと答えています。現在のアメリカの労働者が積極的にフリーランサーを指向している事が浮き彫りになっています。

Googleを辞めてフリーランサーとなった男

そんなアメリカで一人のフリーランサーが注目を集めています。29歳のプログラマー、ジェイムズ・ナイト氏です。同氏は、高給を得ていたGoogleでの職を辞し、最近フリーランサーとして独立しました。Google名物の無料ランチや快適なオフィス環境を捨て、あえて一匹狼になったナイト氏は、フリーランスのプログラマーとして新たに仕事を開始しました。

慢性的な技術系人材不足に悩むシリコンバレーでは、ナイト氏のような即戦力のプログラマーは引っ張りだこです。ナイト氏は、オンラインデートシステム運用企業や画像制作アプリ開発企業などから次々に仕事を獲得し、収入はGoogle時代の倍になったそうです。特にPythonなどのウェブ系アプリケーション開発者やプログラマーの人件費相場が高騰していて、ナイト氏クラスのプログラマーの時給相場は1,000ドル(約10万6千円)にも達しているそうです。

Google勤務時代に得ていた給料の倍の収入を得たナイト氏は、同時に自由も手に入れました。忙しい仕事の合間を縫って、同氏は奥さんと二人でヨーロッパ縦断旅行を楽しんで来たそうです。「Googleで提供されるナップ・ポッド(Google社内に設置された昼寝用マシン)や無料ランチよりも、自分自身で運命を選択し、リスクを取る方を選んだのです」と、ナイト氏はコメントしています。

稼げるのはやはりIT系フリーランサー

ところで、アメリカで稼いでいるとされるフリーランサーは、実際にいくらくらい稼いでいるのでしょうか?上にナイト氏が時給1,000ドルを得ている事を紹介しましたが、IT系の仕事、特にプログラマーの仕事が大きく稼げるようです。ナイト氏レベルまで行かないにしても、iOSやWebGLなどのプログラミングの仕事でも、時給相場は150ドル(約16,000円)に達しています。1日8時間働いたとして1,200ドル(約12万7200円)にもなる計算です。

ウェブデザインやウェブ系システム開発も稼げる職種です。特にPHP系システム開発の仕事は人材不足で、時給相場が高止まりで推移しています。単独のプロジェクトで受注単価5,000ドル(約55万円)といった仕事が頻発しています。そうした短期のプロジェクトを同時に複数こなせば、それなりに稼ぐ事が可能でしょう。

さらにグラフィックデザインの仕事の相場も高止まりで推移しています。Upworkでの人気職種ランキング二位のグラフィックデザイナーの時給相場は、デザイナーによっては85ドル(約9千円)にも達しています。一般的なグラフィックデザイナーの時給相場も、最低でも20ドル(約2120円)程度を維持しており、それなりに稼ぐ事が可能です。グラフィックデザイナーとして相応のスキルを身に着ければ、時給の増額も期待出来るでしょう。特に人材不足が深刻な業種や、スキルが要求される職種においては、フリーランサーとしてそれなりに稼ぐ事が可能です。

一般的なフリーランサーはいくら稼ぐ?

バーチャル銀行大手ペイオニアが2018年に行った調査によると、調査対象となった180ヶ国のフリーランサーの平均労働時間は週36時間で、平均時給21ドル、平均年収39,000ドル(約413万円)でした。時給相場が高いアメリカでは、フリーランサーが稼ぐ平均所得額は、間違いなくこの数字を上回っているでしょう。

いずれにせよ、フリーランサーがいくら稼ぐのかという問いに対しては、フリーランサー次第であると答える他ないでしょう。上に紹介したナイト氏は恐らく、Google勤務時代と同等か、またはそれ以上長時間仕事をしているものと思われます。フリーランサーとして仕事をするという事は、時間という有限の資産を、自分のスキルという固有の資産を使って現金化することに他なりません。

アメリカの労働市場におけるフリーランサー指向のトレンドは今後、強まる事はあっても弱まる事はないでしょう。フリーランサーの台頭は、労働市場という公正な場で個々の能力を切り売りするシェアリングエコノミーの広がりを意味しています。そのシェアリングエコノミーはまた、個々の能力を厳しく選別するフィルターの機能も提供しています。アメリカのフリーランサー達は、そうした厳しい選別の時代に突入しているとも言えるかも知れません。

執筆者 前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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