アメリカの製造業で最も稼げる職種とは?

2020.11.02

アメリカの製造業で最も稼げる職種は?

最初に結論を書いてしまいますが、2020年現在のアメリカの製造業で最も稼げる職種はインフォメーション・テクノロジー・マネージャーです。アメリカの大手求人サイトMonster.comがまとめた数字によると、インフォメーション・テクノロジー・マネージャーの平均年収は80,772ドル(約888万円)となっています。

インフォメーション・テクノロジー・マネージャー、略称ITマネージャーとは、工場のIT部門のスタッフを採用・教育し、かつ工場内のITシステムの円滑な運用の責任を負うマネージャーです。いわば製造業の現場で働くITエンジニアと言うべき存在で、製造業の職種ではあるものの、実態はITエンジニアである事に変わりはありません。

なお、ITマネージャーの収入は都市部において上がる傾向があり、サンフランシスコ勤務の場合、アメリカ全体平均額の34%、ワシントン勤務だと29%、ボストン勤務だと22%、それぞれ平均年収が増加するそうです。

復活の兆しを見せるアメリカの製造業

アメリカの製造業の労働者数は2010年を底に増加に転じていますが、アメリカ製造業の労働者の生産性が高まっている事もその原因の一つとされています。アメリカ製造業協会がまとめた数字によると、今日のアメリカ製造業の労働者の生産性は1987年の2.5倍で、世界最高となっています。さらに、労働者の生産性が高いだけでなく、最近のロボットの普及拡大が工場そのものの効率化に拍車をかけています。生産性の高い工場の収益が増え、さらに生産性が高い労働者を雇用するという、善循環が生まれているようです。

実際に、アメリカ製造業の現場では人材不足が問題になりつつあります。アメリカでは、今後10年間で350万人の製造業労働者が不足するとされていて、それに対する供給は200万人程度に留まると見込まれています。特にITスキルを身に着けたハイテク人材の不足が見込まれていて、そうした人材ギャップが生じる職種では、サラリーが上昇する可能性が高いとされています。

オペレーション・マネージャーも稼げる職種

なお、ITマネージャーに続いてオペレーション・マネージャーも稼げる製造業の職種です。同じくMonster.comがまとめたデータによると、オペレーション・マネージャーの平均年収は70,056ドル(約742万円)となっています。

オペレーション・マネージャーは、文字通り工場のオペレーションをマネージするのが仕事です。通常はコスト管理、スタッフの採用・教育、デイリーオペレーションの管理などを行います。工場でロボットや各種のIT技術の導入が進んでいる現在のアメリカでは、オペレーション・マネージャーの資格要件としてSTEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学の、それぞれの頭文字を合わせた頭字語)やITの知識やスキルが要求されています。

オペレーション・マネージャーの年収も、仕事が高度になる程高くなる傾向にあります。工場の省力化が相当進んでいる大手メーカーなどでは、オペレーション・マネージャーの平均年収は110,000ドル(約1,166万円)にも達しているそうです。また、オペレーション・マネージャーの仕事もインフォメーション・テクノロジー・マネージャーの仕事と同様、サンフランシスコやヒューストンなどの都市部では収入が15%程高くなるそうです。

昔ながらのメカニカル・エンジニアも今後は給与相場が上昇か

また、工場で稼働する各種の機械などのメンテナンスや管理を行うメカニカル・エンジニアも比較的年収が高いです。同じくMonster.comがまとめたデータによると、メカニカル・エンジニアの平均年収は61,733ドル(約654万円)となっています。メカニカル・エンジニアの収入も、当然ながら仕事が難しい程高くなる傾向にあります。各種のハイテク工作機を稼働させている重電メーカーのジェネラル・ダイナミクスの場合、テカニカル・エンジニアの平均年収は8万ドル(約848万円)以上になるそうです。

工場がどんどんスマートファクトリー化する今後、メカニカル・エンジニアに求められるスキルは相当高くなるでしょう。STEMなどの知識で武装し、各種のロボットやデバイスなどを直接管理出来るようなスーパーメカニカル・エンジニアであれば、かなりの高給取りになると予想されます。

カギとなるのはITとSTEM

なお、アメリカでは今後、工場がスマートファクトリー化するとともに、自己完結的にモノづくりを行うデジタルマニュファクチャリングが普及すると予想されています。デジタルマニュファクチャリングとは、モノのデザインや設計のすべてをデジタルで行い、3Dプリンターなどを使って作るマニュファクチャリングです。デジタルマニュファクチャリングではITやSTEMの高い知識とスキルを持った人材が必要で、今後絶対的に不足するとされています。

アメリカの製造業においては、このデジタルマニュファクチャリングを実現出来る人材こそ現在最も求められており、かつ最も高給が得られる可能性があります。製造業を志すアメリカの若者達には、「製造業の仕事で稼ぎたければ、ITとSTEMをマスターしておきなさい」とアドバイスしたいと思います。

執筆者 前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

連絡先:k-maeda@j-seeds.jp

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