やはり高いサンフランシスコの生活費

2020.09.29

どれくらい高い?サンフランシスコの生活費

一般にカリフォルニア州は生活費が高いことで知られています。中でもサンフランシスコの生活費は非常に高く、アメリカの中でも特に異常な高さとなっています。

 具体的にサンフランシスコの生活費はどれくらい高いのでしょうか。世界各都市の物価をリアルタイムでデータベース化しているNUMBEOによると、サンフランシスコに平均的な四人家族が住んだ場合の平均生活コストは4301ドル(約45万3千円)です。なお、この金額には家賃が含まれていません。

 サンフランシスコで高いのは家賃で、市内の1ベッドルームアパートの平均家賃は3488ドル(約37万円)で、四人家族用の3ベッドルームアパートの平均家賃は6405ドル(67万9千円)にもなります。上に挙げた四人家族の平均生活コストが4301ドル(約45万3千円)ですので、家賃を合わせると10,706ドル(約113万円)にもなります。アメリカ人の平均所得額は33,706ドル(約357万円)、平均世帯所得額は61,937ドル(約657万円)ですので、一般的なアメリカ人家族がサンフランシスコに住むのは不可能でしょう。

家賃以外のコストも高く

家賃が高いのはアパートなどの住宅だけではありません。サンフランシスコではオフィスや店舗などの商用施設の家賃も高く、1平方フィート(0.092平方メートル)当たりの平均家賃は90ドル(約9540円)にもなります。高い家賃を反映して物価も総じて高く、カプチーノの平均価格4.6ドル(約488円)、マクドナルドのコンボセット10ドル(約1060円)、バーでの国産ドラウトビール(500ml)7ドル(約742円)、ミネラルウォーター(330ml)2.05ドル(約217円)、飲食店での食事一人につき平均18ドル(約1908円)となっています。東京の物価と比べてみても、その高さが際立ちます。

 筆者の高校時代の友人で、サンフランシスコに長らく住んでいる日本びいきの人がいます。その人の行きつけの日本風居酒屋がサンフランシスコ市内にありますので、ちょっとそのメニューをみてみましょう。

刺身 
 カジキマグロとビンチョウマグロの刺身 18ドル(約1908円)
本マグロの刺身 25ドル(約2650円)
 カンパチの刺身 18ドル(約1908円)
 特別盛り合わせ 71ドル(約7526円)
 
豆腐
 寄せ豆腐 10ドル(約1060円)
 湯豆腐 12ドル(約1272円)

揚げ物
 手羽のから揚げ 12ドル(約1272円)
 メンチカツ  15ドル(約1590円)
 ミルフィーユ味噌カツ 16ドル(約1696円)
 チーズ鶏カツ 15ドル(約1590円)

丼物
 麻婆豆腐丼 12ドル(約1272円)
 ウニネギトロ丼 25ドル(約2650円)
 納豆丼 8ドル(約848円)

うどん
 かけうどん 11ドル(約1166円)
 キノコの鍋焼きうどん(2人前) 27ドル(約2862ドル)
 カニの鍋焼きうどん (2人前) 39ドル(約4134ドル)

(出典)Izakaya Rintaro, San Francisco

ざっと見ただけでも「高い」という印象を受けます。これがサンフランシスコにおける物価の感覚です。

新型コロナウィルスのパンデミックの影響は?

ところで、猛威をふるい続ける新型コロナウィルスのパンデミックは、サンフランシスコの家賃を含む物価に影響を与えているのでしょうか。答えはイエスです。新型コロナウィルスのパンデミックにより、アメリカのビジネスは極めて大きな影響を受けています。アメリカではこれまでに3千万人が職を失いましたが、その27%をカリフォルニア州の住民が占めています。

 影響はサンフランシスコにも及び、失業などにより家賃が支払えない人が続出、多くの人がサンフランシスコを離れています。不動産業界団体が行った調査によると、サンフランシスコでも賃貸物件の空室率が上昇し、平均家賃が対前年比で12.7%低下したそうです。また、シリコンバレーがあるサンノゼ市や、カリフォルニア州最大の都市ロサンゼルスでも、新型コロナウィルスのパンデミックの影響により家賃が軒並み低下しています。

テレワークも拡大へ

また、大手IT企業などを中心にテレワークを拡大するトレンドが広がっています。サンフランシスコ市は現地時間の先週、一定規模以上の従業員を雇用する企業に対し、週に最低三日は従業員を在宅勤務させる法律を通過させました。また、Twitter社などサンフランシスコ市内に拠点を置く企業も、ほぼすべての従業員に対し、無期限での在宅勤務を認めるポリシーを打ち出しています。同様の動きはGoogleなどのシリコンバレーのIT企業にも広がっており、在宅勤務はアメリカのIT企業における「新たな日常」となりつつあります。

 サンフランシスコの高い家賃を嫌って、サンフランシスコから家賃の安いエリアへ引っ越す労働者も続出しています。あるアドテック企業に勤務するエンジニアは、小さな1ベッドルームのアパートに毎月3200ドル(約34万円)の家賃を支払っていましたが、会社がテレワークを解禁したため、サンフランシスコからハワイへ引っ越したそうです。風光明媚なサンフランシスコに憧れてサンフランシスコに住んだものの、3200ドルの家賃を支払い続けることに「経済合理性を見出せない」と判断、今はハワイからZoomでミーティングをしています。彼のような判断を下す人は、今後も少なからず出てくることは間違いないでしょう。

執筆者 前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

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