EURO2020から異文化理解について考える

ヨーロッパは長い冬が終わり、春を飛びこえて夏がやってきました。また、新型コロナウイルスの影響で1年延期になったサッカーのUEFA EURO2020が始まりました。日本のサッカーファンで注目されている方も多いのではないかと思います。ビジネスの場における雑談としてもスポーツはとっかかりやすいトピックです。今回はこのスポーツを例にとって異文化理解について考えてみたいと思います。

ヨーロッパ人はみんなサッカーが好きなのか

ヨーロッパの多くの国ではサッカーはもっとも人気のスポーツで、イングランドのプレミアリーグを筆頭に多くの国がプロリーグを抱えています。ほとんどの国のスポーツバーで国際大会だけではなくさまざまなサッカーの試合が放映され、ビール片手に盛り上がっている観客の姿が見られます。しかし全ての国でサッカーがすごく人気というわけではありませんし、サッカー以外の競技も同じように人気がある国もあります。イギリスではサッカー以外にラグビーやクリケットも盛んであり、クリケットについては旧英国領であったオーストラリアやインドなどとよく国際試合が行われます。アイルランドは世界でも有数のラグビー強豪国ですが、アイルランド発祥のゲーリック・フットボールやハーリングも人気で、日本の高校野球や都市対抗野球のような州対抗の大会が毎年行われます。オランダではサッカーの次にホッケーが人気のようです。もちろんサッカーがヨーロッパ全体で一番人気のスポーツと言って過言ではありませんが、サッカーがすべてではありません。また、サッカーはおろかスポーツ自体に全く興味がない人もいます。

ヨーロッパは数多くのサッカー強豪国を抱える

ヨーロッパは数多くのサッカー強豪国を抱える

雑談トピックとしてのスポーツ

日本に限らず、ビジネスの商談の場において雑談は重要です。雑談自体が場を和ませることもありますし、相手の人となりなどを知ることもできます。新型コロナウイルスの影響で人が会う機会は極めて減りましたが、もともとヨーロッパの多くの都市で異業種交流会は盛んです。参加者の多くは交流会を重要なネットワーキングの場としてとらえ、初対面の人と雑談やさまざまな意見交換を行います。日本人はこういう時に何を話したらいいのだろうと戸惑って無口になることも少なくないようです。初対面の人に仕事の話をするわけにいかないということもあろうかと思います。

こういうときの会話の引き出しを増やしておくことは重要です。以前大手化学メーカーでアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアに赴任されたご経験のある方に伺いましたが、欧米の経営幹部の方々は趣味も大切にして一つないしは複数のことに対する造詣が深い方が多いようです。その分野は絵画や音楽など人によって異なりますし多岐にわたりますが、スポーツもその一つに入ると思います。何か人に語れる趣味を持つということは、自分とあまり親しくない人や見知らぬ人との会話でも役に立つだけではなく、その人の人生を豊かにしてくれます。海外ビジネスにおいて言語自体も重要ですが、何を話すか、話せるかということも重要になるでしょう。

ヨーロッパ人にとっては社外でのネットワーキングも重要だ

ヨーロッパ人にとっては社外でのネットワーキングも重要だ

自分自身の持つ先入観を知る

サッカーやスポーツは娯楽だけではなく、異文化や自分自身の持つ先入観について考えるきっかけを与えてくれます。私自身はサッカーにあまり興味はないのですが、先日友人の家でEURO2020(ポルトガル・ドイツ戦)を観て選手の人種の多様化に驚きました。昔はいわゆる親の代からヨーロッパにルーツを持つ選手がほとんどでしたが、中東系・アフリカ系のルーツを持つ選手の割合もかなり増えてきました。
また、最初に書きましたが、ヨーロッパ人だからといってサッカーが好きとは限りません。筆者の友人のドイツ人(男性)もサッカーにはこれまで興味を持ったことがないと言っています。ドイツ人だからサッカーが好きだろうと思って彼のような人にサッカーについて話しかけても、空振りに終わるかもしれません。「×××国だから〇〇〇だろう」「△△△人だから□□□だろう」という固定概念は誰しも有しています。それ自体が悪いことではありませんが、自分自身がそういった先入観や固定概念を持っていることに気づくことが異文化コミュニケーションにおいては重要です。ヨーロッパ人も、日本やアジアの国に対してそういった先入観を持っていることが多いです。海外ビジネスにおいてコミュニケーションは日本以上に重要です。コミュニケーションは言語だけではなく、相手の文化を理解することも含まれます。ご自身の異文化理解を深めることで、ビジネスの成功にもつながるのではないでしょうか。

ジェイシーズではヨーロッパの現地担当者とともに、新型コロナウイルス流行下においても皆様のヨーロッパでのビジネスをサポートしております。お気軽にお問い合わせください。

執筆者 浜田真梨子(はまだ・まりこ)

執行役員 シニアマーケティングコンサルタント(欧州)
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