エホバの証人とはどういう人達か?

昨年2022年12月に「エホバの証人とはどういう宗教か?」というコラム記事を投稿させていただいたところアクセスが集まり、一時月間3万ページビューを超えるまでになりました。エホバの証人にご関心をお持ちの方が少なくないことを示していますが、アメリカの世論調査会社ピュー・リサーチセンターが、アメリカのエホバの証人の人となりに関する記事を配信しています。その一部を抜粋してご紹介します。

女性が多く、人種は多様な構成

まずはエホバの証人のデモグラフィですが、女性が65%と全体のほぼ三分の二を占めています。他の宗教よりも女性の割合が高いのが特徴の一つです。ちなみにカトリックの女性の割合は54%です。

エホバの証人は、人種は多様な構成です。白人36%、ヒスパニック32%、黒人6%、その他の人種6%となっており、アメリカでもっとも人種が多様な宗教となっています。

エホバの証人はまた、他のアメリカの宗教の信者よりも学歴が低い傾向があります。エホバの証人の63%は高卒の学歴です。一方、福音派プロテスタントの信者で高卒の人は43%、メインラインのプロテスタントの信者で高卒の人は37%です。

他の宗教と比べてリテンション率が低いのもエホバの証人の特徴です。リテンション率とは、幼少時に教育された宗教を、成人してからも信じている人の割合のことです。アメリカの各宗教のリテンション率は、高い順でヒンズー教80%、イスラム教77%、ユダヤ教75%、黒人プロテスタント70%、福音派プロテスタント65%、モルモン教64%、カトリック59%となっています。ところが、エホバの証人のリテンション率はわずか34%しかありません。エホバの証人の家に生まれ、エホバの証人として育てられた2世などの三人に二人が成人するまでにエホバの証人から脱退するか、他宗教へ改宗していることになります。

他宗教からの改宗者が多いエホバの証人

他宗教からの改宗者が多いのもエホバの証人の特徴の一つです。現役のエホバの証人の65%が他宗教からの改宗者です。改宗したエホバの証人でもっとも有名な人は、2016年4月にオピオイドの過剰摂取で亡くなった人気歌手のプリンスでしょう。プリンスは、キリスト教系新興宗教団体のセブンスデー・アドベンチスト教会の信者の家に生まれ、クリスチャンとして育ちました。しかし、1990年中頃からバンド仲間でエホバの証人のラリー・グラハムに勧誘され、エホバの証人に改宗しました。改宗してからのプリンスは自らエホバの証人の冊子「ものみの塔」を抱えて知人宅などを訪問し、熱心に勧誘していたそうです。

エホバの証人への改宗者が多い理由ですが、筆者は、エホバの証人の教理には伝統的なキリスト教が抱えるある種の「難解さ」が少ないのが大きな理由の一つだと考えています。例えば、伝統的なキリスト教では父、子(キリスト)、聖霊の三位をもって一つの神とする「三位一体」を重要な教理の一つとしています。ところが、特にキリスト教の未信者にとってはこの三位一体の教理を理解するのが難しい。その難しい教理を、エホバの証人は三位一体を否定することで理解をしやすくさせ、入信のハードルを下げている。なお、エホバの証人が自分たちの教理や教義に合わせて聖書を「改ざん」していることは前の記事でご紹介した通りです。

信仰心が篤いエホバの証人

また、信仰心が篤いのもエホバの証人の特徴の一つです。エホバの証人の90%が自分の人生にとって宗教が重要であると答えています。また、同じく90%が絶対的な確信をもって神を信じていると答えています。さらに、94%が聖書は神の言葉であると答えています。

また、毎週最低一度礼拝へ参加すると答えたエホバの証人の割合は85%にも達しています。ちなみにアメリカの全クリスチャンで毎週最低一度礼拝やミサへ参加すると答えた人の割合は47%です。

さらに、エホバの証人の90%が毎日神に祈っており(クリスチャンは68%)、76%が毎週最低一度別の信者と聖書研究などを行っていると答えています(クリスチャンは26%)。

エホバの証人の訪問勧誘の断り方

このように信仰心が篤いエホバの証人ですから、家庭訪問しての勧誘にも熱心です。日本にお住まいの方でも、エホバの証人の訪問勧誘を受けられた経験をお持ちの方は多いでしょう。基本的には二人一組で訪問し、冊子「ものみの塔」を手渡そうとしたり、「神様についてお話しませんか」などと誘ってきます。中には小さな子供を連れて勧誘する人も少なくありません。

エホバの証人の訪問勧誘の断り方ですが、はっきりと「訪問は迷惑です。勧誘はお断りします」と伝えて下さい。ちょっとでも会話をしてしまうと脈があると見られて再び訪問される可能性が生じます。「訪問は迷惑です。勧誘はお断りします」に加えて「訪問拒否リストに加えて下さい」と伝えるとさらに効果的です。「訪問拒否リスト」に入れられると、エホバの証人が訪問しなくなる確率が高まります。

なお、アメリカでもエホバの証人の訪問勧誘は各地でトラブルを呼んでいます。エホバの証人は、実際のところ少々面倒で迷惑な人達と言わざるを得ないかも知れません。

執筆者 前田 健二(まえだ・けんじ)

上席執行役員、北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓などを中心に指導を行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアなどで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

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